女優の那須佐代子さんが支配人をつとめるシアター風姿花伝が、「10周年記念プロジェクト制作発表会」を盛大に催されました。大きな5本の柱と4つの試みから成る同プロジェクトは、劇場の運営方針を刷新する、冒険心に満ちたものでした。
驚くほど盛りだくさんです。概要は公式サイトでご確認ください。ネクストさんのニュースが簡潔でとてもわかりやすいです。
⇒Next News-Headline【発信型劇場として再スタート】シアター風姿花伝が「10周年プロジェクト」を発表
⇒BS日テレ「ミニシアターの熱気と活気を」…黄金コメディフェス後援
個人的には5月のDULL-COLORED POP『プルーフ/証明』(作:デヴィッド・オーバーン 翻訳・演出:谷賢一 ⇒過去レビュー)、6月のRunsFirstプロデュース『帰郷/ホームカミング』(作:ピンター 翻訳・演出:小川絵梨子)が楽しみでたまりません!
【写真(敬称略)↓上段左から:天野峻(ハイブリットハイジ座)、山田佳奈(ロ字ック)、鈴木雄太(8割世界)、モラル(犬と串)、目崎剛(+1[たすいち])】
【写真(敬称略)↑下段左から:会沢ナオト(シアター風姿花伝アソシエイト・ディレクター)、ほさかよう(空想組曲)、谷賢一(DULL-COLORED POP)、小川絵梨子、那須佐代子(シアター風姿花伝支配人)】
那須:10周年を機に、より若い才能あふれる演劇人の集まる劇場に、質の高いお芝居のかかる劇場に、生まれ変わりたい。私が劇団青年座に長年所属して築きあげた関係性と、新しく出会った若い小劇場の才能たちが出会い、有意義な形で結びあう、懸け橋となる劇場にしたいと思います。
【しのぶよりひとこと】
東京の民間小劇場の中で、路線をはっきり示してファンも獲得している劇場というと、筆頭はこまばアゴラ劇場と王子小劇場だと思います。劇場側が上演団体を選んできた結果、この2つの劇場から、多くの人気劇団やプロとして活躍する演劇人が輩出されてきました。
シアター風姿花伝も「使いたい人に貸す」だけでなく、自らものを作り、ものを言う劇場へと変身されました。発表された数々の企画を通じて劇場独特のカラーが浸透すれば、常連団体も固定客も育っていくと思います。
この度発表された企画は、舞台芸術団体にとって有益なものばかりだと思います。特に若手演劇人には、那須さん世代のプロの演劇人とかかわりを持つチャンスを、是非ともつかんでいただきたいです。10日間、1ヵ月間の長期間公演は大変にチャレンジングですが、劇場と二人三脚で企画実行をする機会は貴重ですし、自分たちだけでは到達できない世界が見えると思います。劇場に直接メールしたり、電話したりして、支配人の那須さん、アソシエイト・ディレクターの会沢ナオトさんにアプローチしてみてください。まずは作品を観てもらうといいのではないでしょうか。
一観客としては、玉石混交の舞台芸術界にキュレーションを行う小劇場が新生したことを、とてもありがたく思います。こまばアゴラ劇場も王子小劇場も、昔はいわゆる普通の小劇場でした。でも今では、作り手側からは「この劇場で上演したい」と切望され、観客からは「あそこでやる公演は面白い」と言われる、特別な劇場になっています。いつかシアター風姿花伝も「若手劇団の登竜門」と呼ばれる日が来るかもしれません。
シアター風姿花伝で上演される公演すべてが観られる、支援会員制度もこの4月から始まるそうです。今年度だけでなくこれから数年先も、シアター風姿花伝に注目していきたいと思います。
※民間小劇場のシアターグリーンとサンモールスタジオも劇場主催の賞を発表されています。
※こまばアゴラ劇場は年間通して公演選定を行っていましたが、今は一部貸館になりました。
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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