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2013年04月11日

新国立劇場演劇『効率学のススメ』04/09-28新国立劇場小劇場

 ナショナル・シアター・ウェールズ(NTW)の芸術監督ジョン・E・マグラーさんが演出する、新国立劇場の新作。脚本はウェールズ出身の新進劇作家アラン・ハリスさんです。上演時間は約1時間55分。⇒関連リンク・記事など ⇒舞台写真

 滑稽で皮肉が効いていて、とても面白い脚本でした。四方から客席が囲むステージは珍しい!(小劇場では『ゴドー…』以来?) 私が拝見したのは2ステージ目で、まだ演出意図通りの完成度ではなかったのかな~という印象を受けました。

 「悲劇喜劇2013年4月号」↓に戯曲が掲載されています。ロビーで販売していたかどうかは未確認。私は以前に購入していました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『効率学のススメ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 ある製薬会社の研究室のリーダー、イフィー(宮本裕子)は、新しい医薬品を開発したことを上司グラント(中嶋しゅう)に報告した。その頃、ビジネス・アナリストのケン(豊原功補)が雇われ、研究開発の効率化に関する調査が始まる。彼による時間管理調査などの「ブラウンペーパー作業」は、研究を打ち切るためではないかと社内でも疑わしい。イフィーは早くこの新薬を発表し、より多くの患者を助けたいと願う。ケンはイフィーらと交流するうちに、人生は数値では測れないことに気付き、効率化の推進に疑問を持ち始める……。
 ≪ここまで≫ 

 客席四方囲みのシャープな抽象美術です。2階席の柵に白いパネルがぐるりと貼り付けられて、その全面に映像が映されます。

 若い研究者の2人(田島優成&渋谷はるか)が可愛らしかったです。可愛いといえば、田島令子さんが走る場面で着ていた衣装がすっごく可愛かった~。

 パンフレットの稽古場日誌(演出補:上村聡史)は興味深い内容で、私が拝見する稽古場とは全然違いました。他の記事も充実。

 ここからネタバレします。かなりおおざっぱで間違ってると思いますので、そのおつもりでどうぞ。

 オープニングで、豊原功補さんが天井から吊り下げられ、舞台のど真ん中で宙に浮いた状態で独白するのには、思いっきり笑ってしまいました。こういう笑いがもっと起こったら良かったのにな~。豊原さんは映画でよく拝見するのですが、いつもとは全然違うキャラクターを作り上げられていて、面白かったです。でもあのイフィーと恋に落ちるとは思えなかったですね。お2人の演技の調子によるのかも。

 イフィーが発見したたんぱく質は、放射線治療の副作用を軽減する働きをするものでした。リストラされないように(リストラされても困らないように ※他にも理由はあったと思います)イフィーは自分の研究成果を個人名で特許申請するのですが、最後には国がそれをお蔵入りにしてしまいます。理由が怖い…。放射線治療の副作用がなくなったら⇒「抗がん剤を使わなくなったり、完治して病人が減ると、製薬会社や医師が困る」「放射性物質による健康被害がないとなると、原発が増えて石油産出国が困る」など。

 科学的な発見があった時に起こる3つの事柄(「嘘だと言われる(=信じてもらえない)」「重要だと思われない(=軽視される)」「発見者ではない人が称賛される(=称賛されるべき人が称賛されない)」)が、物語内で忠実に再現されます。がっかりしてあきれるやら、あまりに愚かで可笑しいやら。リタイアまであと4年の中間管理職の男性(中嶋しゅう)が、「あまりに非効率的(だから部下が育った)」という理由で出世&昇給なんて、ひどいオチですよね(笑)。でも、そういうもんなんだろうな…。

 そうそう、数字が降ってくる映像は映画「マトリックス」ですよね(笑)!背広の豊原さんと相まって可笑しさ倍増。

With ─つながる演劇・ウェールズ編─
出演:豊原功補、宮本裕子、田島優成、渋谷はるか、田島令子、中嶋しゅう
脚本:アラン・ハリス(Alan Harris) 翻訳:長島確 演出:ジョン・E・マグラー(John E McGrath) 美術:二村周作 照明:小川幾雄 音楽:後藤浩明 音響:加藤温 衣裳:伊藤早苗 ヘアメイク:川端富生 映像:冨田中理 ステージング:中村蓉 演出補:上村聡史 舞台監督:大垣敏朗 芸術監督:宮田慶子 主催:新国立劇場 協力:ナショナル・シアター・ウェールズ 協力:ブリティッシュ・カウンシル
【発売日】2013/02/24 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
http://nnttplay.info/with3/kouritsu/
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000603_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2013年04月11日 15:36 | TrackBack (0)