『NASZA KLASA(ナシャクラサ)』で第20回読売演劇大賞最優秀作品賞(2013年)、最優秀スタッフ賞(島次郎)、芸術栄誉賞を受賞した文学座アトリエの会。新作は1988年に書かれたフランス戯曲の上演です。上演時間は約2時間5分、休憩なし。
演出の稲葉賀恵さんは26歳。文学座で初演出なんですね。今後も観たいと思わせてくれる演出でした。
⇒産経ニュース「文学座 26歳の演出家 稲葉賀恵がデビュー 死者の目線で俯瞰する「十字軍」」
⇒CoRich舞台芸術!『十字軍』
≪あらすじ・作品解説≫ 公式サイトより
十字軍とは11~13世紀、西欧のキリスト教諸侯が聖地 エルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に、8回にわたり派遣し た遠征軍のことである。
1988年に書かれたこの作品は、アメリカ 同時多発テロ(2001年)を含めた今日の世界情勢を予見す るかのような作品であり、歴史上のあらゆる人間の愚行によ る犠牲者へのレクイエムであるかのようだ。
作中に登場する“ めんどりおっ母”は少年十字軍に参加した14人の自身の子供 たちを探して1212年から歩き続けている。彼女は今日もどこかの紛争地を歩く。 そこには数多の死が横たわり、死者は彼女に語りかけてくる。 彼女は14人の母であると同時に犠牲者たちの母でもあるかのよう。 そして犠牲者たちを「あの世」から迎えに来るのはユーモアをたた えた老紳士と老婦人。2人は歴史を超越したような救いの世界を暗示する。
作品はこうした時間を越えた世界に、今起こりつつある中東 と思しき戦場で生まれ育った若者たちの愛と戦いの物語を重ねて描く。 時に残酷な光景も透明で詩的な台詞で語られる。それは決して美化ではなく、 死を描く事で生を描いているのだ。老婦人の台詞「生きるも死ぬも喜劇みたいなもの。 悲劇にだけはしてはいけませんわ。」という言葉がそれを象徴している。
≪ここまで≫
凄惨なエピソードがいっぱい。でも外部から静観する人物がいて、コミカルにも見せてくれます。
四方を客席が囲む何もない正方形のステージ。革製の古い旅行鞄を色んなものに見立てます。パイプ椅子が並ぶ客席の中に、木製の椅子がチラホラ。芝居中に俳優が座って、ちょっと客いじりもあったりして、臨場感を出していました。照明で客席も照らすし、出ハケも色々工夫されているけど、1時間で飽きてしまったな~。文学座は劇団員ばかりの公演でも、俳優の演技方法が統一されていませんよね。引き込まれる演技と遠くから眺めるにとどまる演技が混在するので、集中が途切れてしまいます。ただの好みの問題なんですけどね。
ここからネタバレします。
死んだらすぐに立ちあがって死者を演じるのが面白いですね。
妊婦になった女兵士(藤﨑あかね)と、胎児の父親(佐川和正)と、その友人(釆澤靖起)のエピソードがスリリングでした。
出演:坂口芳貞、中村彰男、沢田冬樹、佐川和正、釆澤靖起、倉野章子、山本道子、藤﨑あかね
脚本:ミシェル・アザマ 訳:佐藤康 演出:稲葉賀恵 美術:乘峯雅寛 照明:金英秀 音響効果:青木タクヘイ 舞台監督:寺田修 制作:白田聡 票券:最首志麻子 宣材デザイン:田部井美奈 後援:日仏演劇協会 著作権代理:㈱フランス著作権事務所
【休演日】22日(月)【発売日】2013/03/16 【料金】 全席指定 :前売 4,000円 /当日 4,300円
当日 4,300円 当日券は開演の3時間前より、03-3353-3566 (文学座当日券申込専用)でご予約を承ります。
ユースチケット 2,500円25歳以下/文学座のみの取扱い
http://www.bungakuza.com/jujigun/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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