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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2013年05月16日

イキウメ『獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)』05/10-06/02シアタートラム

 前川知大さんが作・演出される劇団イキウメの新作です。2008年に上演された短編『瞬きさせない宇宙の「幸福」』が長編になりました。もとの短編も、昨年の『図書館的人生(上)』も観ていなくても大丈夫です。

 約100年を隔てた過去と未来を行き来しながら、日本の今を風刺するSF娯楽作でした。深刻過ぎることはなく、クスっと笑える場面もいっぱいあります。メッセージにものすごく感動!地球の永い歴史の中に、愚かではかない私自身の存在を見つけられました。

 上演時間は約2時間10分。シアタートラムでの東京公演は6/2まで。その後、北九州、大阪ツアーあり。

 【舞台写真(撮影・田中亜紀)左から、伊勢佳世、安井順平、浜田信也】
20130515_kemono_no_hashira2.JPG

 ⇒毎日新聞劇評「時空交錯する演出鮮やか」(濱田元子)
 ⇒CoRich舞台芸術!『獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)
 レビューは加筆できるかどうか未定。書きたいんですが…難しそうです…(涙)。

 ≪あらすじ・作品紹介≫ CoRich舞台芸術!より
 ある日、アマチュア天文家の二階堂は、小さな隕石を拾います。
 その隕石は、見る者に恐ろしいほどの幸福感をもたらしました。
 夢中にし、思考を奪い、自分で目をそらすことはできません。
 一人で見たら最後、死んでしまうまで見続けることになるのです。
 そして、隕石が落ちた後、空からは巨大な柱が降り注ぎました。
 それは人々にあきれるほどの祝福を与え、静寂のうちに人々を支配しました。
 世界は大きく変わりました。
 柱は人間に何を課し、何から解放したのか_。

 短篇リミックスの上巻からうって変わり、下巻は“SF年代記”を。
 「瞬きさせない宇宙の幸福」(2008)をベースにした長篇「獣の柱」。
 池田成志を客演に迎えてお送りします。
 ≪ここまで≫


 舞台は灰色一色。上下に並ぶ本棚たちは歴史、地層を連想させます。

 【舞台写真(撮影・田中亜紀)左から、池田成志、浜田信也、伊勢佳世、安井順平】
20130515_kemono_no_hashira1.JPG

 ここからネタバレします。

 1937~38年(昭和12~13年)に発表された久保栄・作『火山灰地』(第二部)のセリフを思い出しました(⇒劇団民藝で2005年に上演)。ほぼ最後の場面です。部分的に現代日本語に変えています。

 青木:(略)子供のころ、何んの本だったすか、読んだ話おもひ出しましてね――熱帯地方かどこかで――蟻の大群が水渡るとき――さきさ行ったやつは、どんどん溺れて、しまひに蟻の屍骸でまっ黒な橋架るさうでないすか……
 雨宮:うむ…
 青木:あとから行くやつは、その上とほって、向ふ岸さ渡っては進んでゆくちふんですが――人間の進歩も、これとおんなじだなんて書いたあったの、まだ憶えてるすけんど――(略)


≪東京、福岡、大阪≫
出演:浜田信也、盛隆二、岩本幸子、伊勢佳世、森下創、大窪人衛、加茂杏子、安井順平、池田成志
脚本・演出:前川知大 美術:土岐研一 松本大介 音楽:かみむら周平 音響:青木タクヘイ 舞台監督:野口毅 川除学 演出補:谷澤拓巳 演出助手:相田剛志 衣裳:今村あずさ ヘアメイク:西川直子 振付:平原慎太郎 映像:ムーチョ村松 宣伝美術:鈴木成一デザイン事務所 制作:湯川麦子 プロデューサー:中島隆裕 演出部:上嶋倫子 藤田有紀彦 照明操作:芦辺靖 音響操作:佐藤尚子 映像操作:杉崎真由子 大道具制作:C-COM 運搬:マイド 提携:公益財団法人せたがや文化財団 世田谷パブリックシアター 後援:世田谷区 TOKYO FM 運営協力:サンライズプロモーション東京 主催:イキウメ / エッチビイ
【発売日】2013/03/24 前売4,200 円 / 当日4,400円(全席指定・税込)
http://www.ikiume.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2013年05月16日 00:16 | TrackBack (0)