神里雄大さんが作・演出される岡崎藝術座の新作を拝見。東京公演の後、京都、熊本、鹿児島ツアーあり。北品川の商店街にある「楽間」に初めて伺いました。いい町だったな~。お散歩しにまた行きたい。
上演時間は約1時間20分。ものっすごく濃い時間でした。セリフは会話劇というより散文というか…文学作品のようで胸にグサグサ来ました。終演後に戯曲本を購入(700円)。何かの賞の候補になってもいいんじゃないでしょうか。戯曲賞なのか文学賞なのか私にはわからないんですが…。
⇒CoRich舞台芸術!『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
ミステリー、ダンス、シアター
アガサ・クリスティーの処女戯曲、「ブラック・コーヒー」をモチーフに、新たに書かれる台本。
処女を喪失したときの強い後悔と放心を、まやかしのしあわせで塗りたくってしまう。
おとこは処女を喪失したことがないので、想像とインタビューが行われるだろう。
俳優はからだを動かしまくり、裏では記憶が書き換えられる、暴力的なことば。
なにも混ぜてはならない……。
≪ここまで≫
当日パンフレット掲載の神里さんインタビューによると「分かりやすかろうが分かりにくかろうが、自分がいいと思う方法で自分の扱いたいテーマをあぶり出すべきだ」と思い、「上演をあまり意識せず、自由に書いた」台本とのこと。
言葉も、身体表現も、音も明かりも、「コレなのだ」と妥協なくあらわしてらっしゃるように思いました。濃厚で、ゴツゴツしてて、孤高。
私は露骨な性描写が苦手なんですが、この舞台では性についての言葉も身体も、ある定型的な表象として使われていた(ように見えた)ので、大丈夫でした。何をしても息苦しい(東京の)今を、原始的感性でとらえて、文学にしてくださったように思います。
ここからネタバレします。
若い男性が少女を誘拐して10年監禁していた。被害者と加害者のかつての友人たちが彼らについての記憶を証言する。アガサ・クリスティー著「ブラックコーヒー」に登場する探偵2人組の睦言など。
出演者は皆さんに凄みがありました。訓練を積んでないとできない演技ばかり。最後の稲継美保さんの長い独白に心をつかまれてしまった…。『長短調』でダンスがかっこ良かった方ですね。体の説得力はそのせいかしら。
出演:鷲尾英彰 稲継美保 小野正彦 藤井咲有里 大村わたる
作・演出:神里雄大 舞台監督:寅川英司+鴉屋 照明:黒尾芳昭 音響:高橋真衣 映像撮影:ワタナベカズキ 写真撮影:富貴塚悠太 制作:岡崎藝術座、野村政之 制作協力:服部悦子、本郷麻衣、上松宣彦、岩田ゆう子 助成:公益財団法人セゾン文化財団、芸術文化振興基金 共催:NPO法人フリンジシアタープロジェクト(京都公演) 企画製作・主催:岡崎藝術座
(予約)一般(6/17まで) 2,800円 (6/19以降) 3,000円/学生 2,500円 (当日)一般、学生とも前売+300円 18歳以下観劇無料
http://okazaki-art-theatre.com/news/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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