DULL-COLORED POPの谷賢一さんが、2009年初演の米国劇作家マーク・セント・ジャーメインによる2人芝居を翻訳・演出。パンフレットによると2年におよぶロングランを記録したヒット作だそうです。谷さんの公演関連ブログ⇒1、2
第二次世界大戦前夜、ロンドンでジークムント・フロイトと、C・S・ルイスが出会って話をしたとしたら…?という架空の物語。フロイトを木場勝己さん、C・S・ルイスを石丸幹二さんが演じます。豪華キャストです。
前売りは早々に完売でしたが、公式ツイッターが当日券の枚数を教えてくれてます。上演時間が1時間35分と短めですので、座布団席でも大丈夫じゃないかなぁと思います。終演後にトークがある回もありますし、お時間あれば当日券にチャレンジを。
⇒All About「石丸幹二×木場勝己「最後の精神分析」稽古場リポート」
⇒CoRich舞台芸術!『最後の精神分析-フロイトvsルイス-』
↓文化庁芸術祭優秀賞を受賞されました(2014/02/11加筆)。
DULL-COLORED POP番外公演
『最後の精神分析-フロイトVSルイス』
文化庁芸術祭優秀賞を頂きました!
皆さん素敵な方ばかりだったので
本当に嬉しくて
とっても幸せ
おめでたい(ノv`*)
こちらトロフィーと谷賢一。 pic.twitter.com/vAgT2KyYdx
— 中村梨那 (@rinxpear) 2014, 2月 10
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。
キャロウェイ賞やニューボイス賞などに輝くアメリカの劇作家マーク・セント・ジャーメインの野心作を本邦初上演! フロイト/ルイスには名実ともに演劇界を代表する俳優である木場勝己と石丸幹二を迎え、DULL-COLORED POP谷賢一による翻訳・演出でお届けします。
精神医学や心理学のみならず、20世紀の文学や芸術に多大な影響を与えた精神分析の祖、ジークムント・フロイト。そして『ナルニア国物語』『別世界物語』などが高く評価され、今も愛読され続けているファンタジー作家、C・S・ルイス。
互いに“夢”“幻想”を通して人間を理解した2人。
互いに“ファンタジー”に魅入られた2人。
互いに同じ時代のイギリスに生きていた2人。
しかし2人には、決定的な、受け入れがたい相違点があった。
フロイトは過激な無神論者。一方ルイスは熱烈なキリスト教徒。
──そんな2人が、もし、出会っていたら?
神はいるのか? 道徳とは何だ? そして性欲とは? 人生とは? なぜ人は争い続ける? 20世紀前半を代表する2人の知の巨人たちが、90分の激論を通じて、歴史上誰も解決し得なかった問題に挑むスリリングな会話劇。
ルイス「これ以上話したくない!」
フロイト「ならそうしよう。だがこれは私の信念だがね。
──患者が話すことよりも、話せないことの方が、得てして重要な意味を含んでいるものだよ」
≪ここまで≫
無神論者VSキリスト教信者の2人芝居は逃げ場なしのガチバトル。クリスチャンが観たらタブーわんさかでもっと面白いんだろうな~と思いました。
舞台面側のカウチ、奥の棚などの美術や小道具が象徴的でとても良かったです。棚やデスクには、ギリシア時代の神々や、古代エジプトの彫像を模した小さなオブジェ(フロイトのコレクション)が多数並んでいます。2人は互いにそういった人類の歴史を背負い、命がけで戦っているようでした。
どっしりとしたストレート・プレイですから、どうしても芝居のメインは俳優の演技になります。木場さんはいつもながらカッコイイんですが、カッコイイのは見たくないんだよなぁ~。「ここはこういう演技をする」と決めて演技をしているように見えちゃうのも物足りない。石丸さんは木場さんに押され気味だったような。
ここからネタバレします。
時代は1939年9月3日(第二次世界大戦勃発の朝)。場所はフロイトの書斎(ロンドン、ハムステッド地区)。フロイト83歳、ルイス40歳。
幕が開くなり照明が、ステージだけでなく劇場の壁全体を明るく照らしました。黒い幕などでボロ隠ししてプロセニアムを作るのではなく、「ここは劇場ですよ、これからお芝居(嘘)が始まりますよ」という宣言をしたのが潔いと思いました。
舞台面側中央にフロイトの診察用のカウチが置かれていて、誰も座ったり寝たりしていない時も、よく照明が当たっていました。2人ともが精神分析を受けている(胸の扉をこじ開けられて、心の奥を暴かれていく)状態を想像しました。
フロイトは口蓋のがんに冒されており、話すごとに痛みが増し、ついには口から出血します。その血がとても良かった。人類の血塗られた歴史の象徴とも解釈できますし、ラジオが開戦を告げ、空襲警報(誤報)が鳴り響きますから、戦争そのものを表すと考えることも可能です。フロイトの人口口蓋を取り外したルイスの手にも血がついて、2人ともが血にまみれたことも、戦争を想起させました。そして別れ際、血のついた手で握手をする2人に、かすかな希望が示されたように思いました。
"FREUD'S LAST SESSION" by Mark St. Germain Suggested by "THE QUESTION OF GOD" by Dr. Armand M. Nicholi, Jr.
クライブ・ステープルス・ルイス(Clive Staples Lewis, 1898年11月29日 - 1963年11月22日)
ジークムント・フロイト(ドイツ:Sigmund Freud、1856年5月6日 - 1939年9月23日)
出演:石丸幹二、木場勝己
声の出演 ジョージ六世:小田豊 チェンバレン首相:陰山泰 BBCアナウンサー:瀬田昴治
脚本:マーク・セント・ジャーメイン(Mark St. Germain) 翻訳・演出:谷賢一 美術:土岐研一 照明:松本大介(株式会社松本デザイン室) 音響:長野朋美(オフィス新音) 衣裳:前田文子 舞台監督:武川喜俊 演出助手:中村梨那(DULL-COLORED POP) 照明操作:吉川愛子 音響操作:小野伶子 小道具協力:高津装飾美術 大道具協力:C-COM 衣装協力:東宝舞台 Special Thanks:程呈 制作助手:松本奈央子 制作:福本悠美(DULL-COLORED POP)、馬場順子(石井光三オフィス) 太田さやか 企画・キャスティング:穂坂知恵子 宣伝美術:近藤一弥、イラストレーション:望月梨絵 パンフレット作成:進藤小瀬里 主催:DULL-COLERD POP、制作協力:石井光三オフィス、助成:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、芸術文化振興基金
【休演日】8日(火)【発売日】2013/08/03 全席指定 一般 5,000円(税込) 学生割引2,500円(税込)=24歳以下、9/20~受付開始
http://www.dcpop.org/stage/next.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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