ミュージカル『Jack the Ripper ジャック・ザ・リッパー』はチェコ・ミュージカルを韓国版にして2009年に初演されました。それから韓国では毎年続けて上演されている人気作で、日本では昨年、青山劇場で初演されました。この作品を観て韓国ミュージカルにハマったというお知り合いがいたので、お値段高い目ですが行ってみました。上演時間は約2時間半(途中休憩20分込み)。
韓国ミュージカルを観たことがない方は、この作品から入ってもいいんじゃないでしょうか。まずは歌唱力(声量)に圧倒されると思います。現在、プレイガイドによっては割引券も出ているようです。劇場にあったポスター↓
⇒CoRich舞台芸術!『Jack the Ripper』
≪あらすじ≫ 2012年のぴあサイトより
1888年ロンドン。
捜査官アンダーソンは売春婦だけを狙う、「ジャック・ザ・リッパー」と呼ばれる殺人鬼を追っていた。 アンダーソンは、その残忍な手口のため、マスコミには非公開で捜査を進めようとする。 しかしロンドンタイムズ紙の記者、モンローはジャックに関しての スクープ記事を書くため、 アンダーソンに接近する。 麻薬中毒者で金が必要なアンダーソンは、モンローの口車に乗せられ、情報提供して対価を得る取引に同意してしまう。
4回目の殺人が起こったある日、アンダーソンの前に犯人を知っているという人物が現れる。 彼は、7年振りにアメリカからロンドンに渡ってきた外科医ダニエル。 ダニエルと元売春婦のグロリアにはジャックとの因縁があった…。
数日後、事件がますます混迷の度合いを深めていく中、 アンダーソンは囮捜査を計画するが、ロンドンタイムズ紙の1面に「ジャック・ザ・リッパー」の殺人予告の記事が掲載される。 そして、アンダーソンと彼のかつての恋人だったポリーまでも、 予期せぬ事件に巻き込まれる…。
果たして、殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー」の正体とは…?
そして本当の目的とは…?
≪ここまで≫
美術も衣装も凝っていて、スター俳優の迫力の歌を存分に聴かせる娯楽大作でした。血なまぐさい凄惨なストーリーですが、悪役(ヒール)のカッコ良さを前面を出して、エンターテンメントに徹しています。照明の色使いは紫に黄色とか、原色系の対比が鮮やかで韓国っぽいですね。韓国のミュージカル俳優さんはやはり声量がすさまじいです。この作品もそうでしたが、たまに耳閉じなきゃと思うぐらい(笑)。
客席は大盛り上がりでカーテンコールが始まるやいなや総スタンディング状態。日本じゃないみたい(笑)。私はこういう雰囲気が苦手なので乗れませんでしたが、お好きな方がハマる気持ちはわかります。
初日には神奈川県知事と韓国領事館領事がいらしていたようで、開演前に場内アナウンスによる紹介とお2人が握手をされる場面もありました。客席には韓国人の一般客も大勢いらした様子で、韓国ミュージカルは日韓市民の文化交流の場になっているんですよね。
ここからネタバレします。誤読もあるかもしれませんのでご容赦ください。
メインの俳優さんは実力があるし、アンサンブルも豪華で、どんでん返しのあるストーリーも楽しみました。ただ、『ノートルダム・ド・パリ』ほどではなかったですが、「次はこの歌、そして次はこのシーンですよ」とシーンごとにくっきりと分け目ができてしまっているのは残念。歌謡ショーのように感じちゃうんですよね。
私が好きだったのは、アンダーソン刑事とその元恋人の娼婦ポリーが、灰が舞うロンドンの街を歩いていく場面。ポリーが優しい声で歌うんです。どちらかというと私はこういう歌が聴きたい派。そしてアンダーソンとポリーの間に心の交流が見えるのも好きです。
大やけどを負い、梅毒にもなってしまったグロリアを助けるため、新鮮な内臓欲しさに墓荒らしまでしてきた外科医ダニエルは、なんと自分が切り裂きジャックと化してしまいました。刑事にも新聞記者にもその真実がばれた後、自害したグロリアを抱きかかえながら、ダニエルは吐露します。自分はグロリアが憎かったのだと。ダニエルが娼婦を次々に殺していったことにも、そこに快感を覚えたことにも納得できました。愛情と責任感にさいなまれ、自分で自分を追いつめてしまう人間にも共感できます。
ジャック役のキム・ボムレさんの「わはははは~」という笑い声はまるで漫画(笑)。歌声は別ですが、スターの存在感的には石原裕次郎さん、江守徹さんを思い浮かべました(この役の髪型が似てるだけ?)。総立ちのカーテンコールでは日本語で「これで終わりだと思うなよ」と決めてくださいました(カンペ見直してたのがキュート)。
【私が観た回の出演者】ダニエル(医師):オム・ギジュン ジャック:キム・ボムレ アンダーソン(刑事):キム・ジュンヒョン モンロー(記者):イ・ヒジョン ポリー(娼婦・アンダーソンの元恋人):ソ・ジヨン グロリア(娼婦・ダニエルと恋に落ちる):キム・ヨジン 他
主催:M Musical Art/ぴあ/Quaras 製作:M Musical Art/SM Contents Investment,Inc./CJ E&M/INTERPARK
【発売日】2013/10/19 S席 16,000円 A席 11,000円 X席 11,000円 Y席 8,000円 ※全席指定 ※未就学児童入場不可 ※X席、Y席はイス付立見席となります。
http://jack-the-ripper.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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