フェスティバル/トーキョー13はオープニングの日の野外劇の後、ラビア・ムルエ連続上演3作品を観て、松井周さん率いるサンプル『永い遠足』世界初演へ。上演時間は約2時間弱。
会場はモロ体育館。物語がやって来ては去り、近づいては消え入り、俳優がずっと遠くに感じられて、意味が全然わからなかったんですが、最後の最後に『オイディプス王』として全てが結ばれたように感じて…物凄いものだった…というのが観劇直後の感想です。疲労困憊で、しばらく朦朧としていました。俳優さんが老若男女問わず全員セクシー!一体何なんだ!
ロビーにて雑誌サンプル「変態」を購入(税込1,000円)。文学座アトリエ公演で上演された戯曲『未来を忘れる』が掲載されています!
【舞台写真 撮影:青木司】
⇒CoRich舞台芸術!『永い遠足』
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
生命の起源から高度先進医療までを見渡す、現代演劇版「人間/生き物」観察記。
≪あらすじ≫
ポスト・パフォーマンス・トークのゲストは映像作家の小泉明郎さん。松井周さんの作・演出作品を初めてご覧になったそうで、ものすごく興奮してらっしゃいました。松井さんにどんどん質問をぶつけて、ノートにメモを取る熱心さ。おかげさまで、意味がよく分かっていなかった私にとって、大いにヒントになる言葉を聴くことができました。※小泉さんは雑誌サンプル「変態」で松井さんと対談されています。
松井さんの「物体に物語を貼り付ける」という感覚、または「人は誰もが演じている(血のつながった家族も、家族である風な演技をしている)」という解釈、それが「着脱可能」であるという自由さは、いつもとても面白いと同時に恐ろしいとも思います。
ここからネタバレします。
男が女になって、人間が犬(?)になって。そういう変態(メタモルフォーゼ)も、息子(久保井研)と母(羽場睦子)の間に生まれた娘(野津あおい)という近親相姦の変態(アブノーマル)も。
トラック(電気自動車)の荷台に美術が積み込まれている、可動式舞台。運ばれていく、とどまらない(止まることができない)、ずっと流れていくイメージ。下手の壁を照らす黄色っぽい緑の照明が怖かった。
ネズミ(奥田洋平)がくれた人工の眼球を、オイディプス(久保井研)が手に取った時、その眼球がとてもリアルな造形だったせいもあって、散らばっていたエピソードが一気につながって、有機的に結びついたような感覚がありました。『オイディプス王』のギリシア時代と、クローン人間が闊歩して移植用の内臓を誰もが容易に手に入れられる未来とが、同時に起こったような。松井さんのトークによると「生態系を舞台にあらわすこと」もテーマの1つだったそうで、円環する生命の輪が閉じたような、何もかもが混ざり合った気味の悪い一体感もあったように思います。
フェスティバル/トーキョー13(F/T13)
出演:古屋隆太、奥田洋平(以上サンプル・青年団)、野津あおい(サンプル)、羽場睦子、稲継美保、坂口辰平(ハイバイ)、坂倉奈津子、久保井研(唐組)
作・演出:松井周 舞台監督:鈴木康郎、浦本佳亮、谷澤拓巳 舞台美術:杉山至(+鴉屋) 照明:木藤歩 音響:牛川紀政 衣裳:小松陽佳留(une chrysantheme) 字幕:門田美和 演出助手:山内晶 ドラマターグ:野村政之 WEBデザイン:斎藤 拓 宣伝写真:momoko matsumoto フライヤーデザイン:京(kyo.designworks) 制作:三好佐智子(quinada)、冨永直子(quinada) 助成:公益財団法人セゾン文化財団 協力:レトル、青年団、ハイバイ、唐組、至福団、シバイエンジン 製作:サンプル・quinada 共同製作・主催:フェスティバル/トーキョー
一般前売開始:2013年10月5日(土)10:00より 料金:自由席(整理番号付) 一般前売 3,500円(当日 +500円) 学生 3,000円、U18(18歳以下)1,000円(前売・当日共通、当日受付にて要学生証提示)
http://www.festival-tokyo.jp/program/13/the_long_field_trip/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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