大阪の劇団子供鉅人の音楽劇。フェスティバル/トーキョー13(F/T13)の公募プログラムに選ばれた作品です。上演時間は約2時間。
地獄に堕ちた悪人たちの日常をレビュー形式で猥雑に。中盤からいきなり物語にドライブがかかって、最後まで引き込まれました。25人以上が出演し、オリジナル曲を生演奏する元気な舞台です。いつもながらエッチ度高め。大阪公演から脚本が変わっているそうです。
⇒CoRich舞台芸術!『子供鉅人の音楽劇「HELLO HELL!!!」』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
あの世の亡者たちは地獄の責め苦を受けることによって
お金(単位=ヘル。1ヘル=約100円)を得て生活していた・・・
地獄でもひらき続ける格差社会!針山地獄時給9ヘル、釜ゆで地獄時給12ヘル!
少子化で亡者を奪い合う牛頭馬頭!罪深きエリート亡者が積み立てる血の池シャンパンタワー!
HELLO!なんて気軽な挨拶は、「O=お金」がなければただのHELL!
ちくしょう!天国なんてニート野郎ばっかりだぜ!
亡者たちが歌うテーマソングは「ZIGOKUの沙汰も金次第!」、
生きとし生けるものどもよ・・・・
地獄耳かっぽじって聞きやがれ!!
≪ここまで≫
見世物小屋のような猥雑さと大衆性、流行語の引用やダジャレなどの言葉遊び、テレビゲームの冒険譚のような物語(ひねりがあるけど)、あけすけなエロス、直球のロマンス、そしてあえて不恰好に、全力で動き回る歌とダンス。作・演出は座長役で出演されている益山貴司さんです。独特のセンスだな~と思います。
なまはげ姉妹の赤い方、キキ花香さんはやはり声がよくて、ドスの利いた存在感がありながら、可愛らしくて。青い方の億なつきさんも胸にぐっとくる瞬間をくれました。そういえば『幕末スープレックス』でもそうでした。
拡声器で歌う(?)サタン役のデグルチーニさんがすごく渋くてかっこ良かったです。同じく男性だと悪知恵が働くスマートなめがね男子のサトウ(山本大樹)もかっこ良かった。
ここからネタバレします。
地獄も金がすべての世界で現実社会と変わらない風に描かれていました。人はどこにも逃げられないし、ユートピアなんてないんだという意味に受け取り、共感しました。
地獄に堕ちた人々は死んでも風が吹くと生き返るという設定です。何度も死んで生き返ってしまいます。だからこそ刹那的に空しく生きてしまうし、死が見世物になります。
「火の山の燃料にするために、地球上で廃棄されたプルトニウムを地獄で買い取る」というエピソードが本筋として始まってから、急にお芝居の求心力が増しました。結局、恋愛の三角関係のもつれとか、功名心ゆえの無茶だとか、人間の愚かな行動によってプルトニウムはダイナマイトで爆破され、地獄は無の世界に。
ラブ吉(影山徹)とキーコ(キキ花香)の関係は阿部定事件を思い起こさせました。最後はキーコの感情がもっと複雑に揺れ動くと、さらにいいんじゃないかと。
HELLWOODのWOODSTOCKって面白いですね。
≪大阪、東京、北九州≫
【発売日】2013/08/26
出演:影山徹 キキ花香 億なつき 益山寛司 小中太 河野一平 クールキャッツ高杉 山西達矢 三ツ井秋 地道元春 山本大樹 小林欣也 益山U☆G 松原進典 ミネユキ 永沼伊久也 花本ゆか 東ゆうこ 藤澤賢明 PIKA☆ 呉山夕子 グレゴワ・タテュー デグルチーニ 益山貴司
作・演出:益山貴司 舞台監督:伊達真悟/若旦那家康 音響:林裕介/河合宣彦 照明:筆谷亮也 振付:ミスター 歌唱指導:三木 万侑加 衣装:あどシスタ ヘアメイク:Little Birds スタイリング:生本覚子 美術:さくらの/谷口悠 演出部:河井朗/上川敬洋/黒住尚生/高市章平 フライヤーデザイン:さくらの/益山寛司 WEB・こどちゃ(物販):ミネユキ 制作:佐々木瑞穂/中西由佳/河村真由美 写真:明地清恵/橋本大和 映像:竹崎博人
【発売日】2013/08/26 前売り3500円 当日3800円 学生2000円 高校生以下割引1000円 センターシート3500円※シート内先着順自由席
http://www.kodomokyojin.com/hello_hell/
http://www.festival-tokyo.jp/program/13/hello_hell/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。