長塚圭史さんが『マクベス』を演出する豪華キャスト公演です。長塚さんがシェイクスピア初演出とは、ちょっと意外な気もしますね。やんわり劇中劇形式で、なんと観客参加型でした(笑)。客席や通路を陣取る俳優らとともに、観客もマクベス(堤真一)を追い詰めていく感覚を得られました。上演時間は休憩込みで3時間弱。2階席は5000円とお得です。
衣装(伊藤佐智子)が素晴らしい!特にヘカテ(池谷のぶえ)は演技も含め、ビジュアルと存在感に圧倒され胸躍りました!ヘカテがこれほど強い印象を残す『マクベス』は初めてです。
⇒CoRich舞台芸術!『マクベス Macbeth』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
11世紀中頃、スコットランド。ダンカン王に仕える将軍マクベスとバンクォーは勝ち戦の帰り道、荒野で魔女3人に出会う。魔女たちは「マクベスはコーダの領主となり、王となる」「バンクォーの息子は将来の王となる」と予言を残す。やがて予言通りマクベスがコーダ領主となると、マクベスの妻は夫を王にすべくダンカン王殺害を謀り、心の底には野心を抱えていたマクベスは妻にそそのかされて短剣で王を刺し、殺害してしまう。
こうして王となり権力の頂点に立ったマクベスだったが、もう一つの予言による不安を解消するため、バンクォーの元へ刺客を送るが、バンクォーの息子だけは難を逃れる。一方マクベスは、バンクォーの亡霊を見て狼狽し、さらなる不安に陥り、マクベス夫人も良心の呵責から精神を蝕まれてゆく。
再び魔女に会いに行ったマクベスは、「女の股から生まれたものはお前にかなわない」「バーナムの森が動くまではお前は安泰だ」という予言を聞き一時は安堵したものの、心の奥の不安は消えず、さらに罪を重ね暴君と化していく。そんなマクベスに、反マクベスの軍が迫りつつあった…。
≪ここまで≫
前説の市川しんぺーさんと福田転球さんが軽快なムードを作ってくださって、いつものシアターコクーンのお芝居とは違った気持ちで参加できました。前半は少々集中が途切れることもあったんですが、休憩後の後半は前のめりの気持ちで鑑賞できました。マクベス夫妻は堤真一さんのセリフが聞こえづらいのがちょっとつらかったですが、常盤貴子さんの自然にその場に居ようとする勇気ある姿勢に、とても好感を持ちました。2人の衣装もまた素晴らしくて、何度もハ~!とかワ~♪とか、心で叫んでいました。
ここからネタバレします。
対話のシーンの中では、マルカム王子(小松和重)がマクダフ(白井晃)を試すところで最もひきつけられました。
客席に設置されていた透明ビニールの緑色の傘は、バーナムの森が動くシーンで開いて使いました。残念ながら私の席にはなかったんですが、バラバラに動く傘の波にウキウキしました。そう、ワクワク、どきどき、ウキウキといった感覚で、何度も拝見している『マクベス』に参加できたことが新鮮でした。
マクベスの巨大な首を観客がそれぞれの頭上に持ち上げて転がし、客席をぐるりと回していくのには笑ったな~。マクベスは魔女の予言で魔が差して、次々と殺人を犯し王位を手に入れたものの、心の平安を失って不幸になり、ついには見せしめの処刑をされます。観客はその一部始終をあざ笑いながら見守り、そして最後にはその首をもてあそびます。無邪気な傍観者である聴衆の罪深さを想像しました。
出演:堤真一、常盤貴子、白井晃、小松和重、江口のりこ、横田栄司、市川しんぺー、池谷のぶえ、平田敦子、玉置孝匡、福田転球、斉藤直樹、六本木康弘、縄田雄哉、松浦俊秀、井上象策、伊藤総、菊地雄人、山下禎啓、中嶋しゅう、三田和代、風間杜夫
作:W・シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:長塚圭史 美術:池田ともゆき 照明:小川幾雄 音響:加藤温 衣装デザイン・人形デザイン:伊藤佐智子 ヘアメイク:稲垣亮弐 殺陣:諸鍛冶裕太 演出助手:山田美紀 舞台監督:芳谷研 チーフプロデューサー:加藤真規 プロデューサー:松井珠美 佐貫こしの 制作助手:藤井良一 吉田友香 劇場舞台技術:野中昭二 票券:川上詠子 企画・製作:Bunkamura
S席/特設S席・9,500円 コクーンシート・5,000円(税込) この公演は舞台を客席が取り囲むセンターステージ形状での上演となります。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/13_macbeth/
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/13_macbeth.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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