“wonderland”の年末回顧特集「振り返る 私の2013-今年の3本」に参加させていただきました。⇒2012年、2011年、2010年、2009年、2008年、2007年、2006年
■しのぶの小劇場ベスト3(上演順)
・RunsFirst『帰郷 The Homecoming』
・Doosan Art Center Produce・東京デスロック+第12言語演劇スタジオ『가모메 カルメギ』(韓国で上演)
・演劇ユニットてがみ座『地を渡る舟 -1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち-』
2013年も小川絵梨子の演出の洗練と手堅さに疑問の余地なし。ピンター作『帰郷 The Homecoming』は彼女が手掛けた4本(『ピローマン』『帰郷(略)』『OPUS/作品』『クリプトグラム』)の中で最も高密度で、自律した俳優同士の交流もスリリングな、民間の小劇場公演では稀有と言える充実の舞台だった。『가모메 カルメギ』はソン・ギウンがチェーホフ作『かもめ』を1930年代のソウル近郊に置き換えて脚色し、多田淳之介の演出で戦中から現代の日韓関係が浮かび上がった。長田育恵の新作戯曲『地を渡る舟(略)』は戦時中の日本の民俗学者を描いた群像劇。長田は井上ひさしの志を受け継ぐ劇作家だと思う。
上田誠、岡田利規、畑澤聖悟、蓬莱竜太、前川知大、山内ケンジの新作戯曲には、東日本大震災と東電福島第一原発事故から約2年半を経た今の日本と日本人が、当事者の視点で描かれていた。現在進行形の災害のもとで常に惑っている私は、彼らの芝居で自分の位置を確かめる。
(注)3作品の並びは上演順。劇作家はあいうえお順。客席数300席以下の小劇場公演から選出。年間観劇本数は240本の予定(2013/12/20時点)。
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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