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REVIEW

2013年12月26日

直人と倉持の会『夜更かしの女たち』12/13-29本多劇場

 “直人と倉持の会”はその名のとおり、竹中直人さんが企画・出演し、倉持裕さんが作・演出する企画のようです。第一弾の出演者には人気女優さんがズラリ。華やかでした。
 
 上演時間は約2時間10分(途中20分の休憩を含む)。なぜ休憩が20分もあるのかな…と思ったんですが、観て納得でした。

 ⇒CoRich舞台芸術!『夜更かしの女たち

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。少々ネタバレありますが、読んでから観に行った方がわかりやすいかも。
 秋の夜。小さな駅の待合室。山間を走る単線の終着駅。トワコ(中越典子)は15年ぶりに故郷に帰ってくる。当時高校生だった彼女は、同級生だったイヌカイという男子生徒の自殺をきっかけにこの土地を離れていた。

 駅前にあるレストランでは、トワコの高校時代の恩師であるハザマ(竹中直人)の送別会が行われている。ハザマはさほど人気のある教師ではなかったが、かなりの人数が集まっていた。

 送別会には、トワコの同級生のカサネ(馬渕英俚可)とモトコ(篠原ともえ)、そして妹のマヒロ(マイコ)も出席していた。トワコの突然の帰郷に驚く一同。イヌカイの死には彼女たちも関わっている。

 レストランから聞こえてくる音楽や笑い声の馬鹿騒ぎと対照的な、待合室の気まずい空気。それとは全く無関係に存在する車掌のクリサキイタル(浜野謙太)と、彼の職場に入り浸ってまで彼の世話を焼く、子離れできない母親・スミ(安藤玉恵)。スミもまたトワコたちとは同級生だが“わけあり”で少々年上。道理で息子はやけに年齢が上に見える。若くして子供を産んだのだろう。

 しばらくして、停車していた車両のシートで一人の女がむくりと起き上がる。一つ前の駅で降りるはずが寝過ごしてしまった女は実は人気作家の宮浦アヤコ(風吹ジュン)だった。
 レストランの喧噪と待合室の静寂を挟んで、15年前、トワコがこの土地を去ることになった事件と裏に隠れていた真相が徐々に明らかになっていく……。
 ≪ここまで≫

 現代を舞台にした会話劇で、人物が意外なところで怒ったり笑ったり、意志疎通のない(敢えて重要視していない)会話などから、岩松了さんの作品に似ているように感じるところもありましたが、演技方法やお芝居全体の空気はそうでもなく。15年前のある男子生徒の自殺が常に話題にのぼるので、脚本はミステリーのジャンルにも入ると思いますが、全体的に華やかかつ軽やかでした。 

 芸能人役や有名人役の方々はもちろん、送別会(同窓会とも呼ばれる)に集まる30代前半の女性たちの衣装がおしゃれです。馬渕英俚可さんのおみ足、背中が美しかった~。

 竹中直人さんの演技は映画などの映像で拝見する度に苦手だなぁと感じてまして、舞台でもやはり苦手でした。中越典子さんは『マイ・ロマンティック・ヒストリー~カレの事情とカノジョの都合』で素敵だと思ったんですよね。今回も切り替えの早い演技が小気味よかったです。馬渕さんも、安藤玉恵さんも好きな女優さんです。

 ここからネタバレします。
 
 前半は駅の待合室でしたが、20分の休憩を挟んで幕が開くと、舞台は駅のちょうど裏側のロータリーに変身していました。待合室での出来事と同時並行にロータリーで起こっていたことが、後半で上演されます。前半で謎だったことが後半で補われ、男子生徒イヌカイの自殺の真相も明らかになる…という技巧を凝らした戯曲でした。弓道部部室での逢引の約束、盗まれて楡の木にひっかかったスカートなど、全く関係なさそうなエピソードが一気につながるのは、遊び心があっていいなと思いました。

 トワコ(中越典子)はなぜ突然帰ってきたのか、宮浦アヤコ(風吹ジュン)が2駅乗り過ごしたのは偶然なのか…と考えていくと、天国の高校生イヌカイが皆の誤解を解くために、自分にかかわる人たちが勢ぞろいする日を狙って、2人を呼び寄せたのかも…という解釈もできるんじゃないでしょうか。最後にトワコが「私、なぜ帰ってきたのかしら?」とつぶやいて、都会に戻る電車に飛び乗るのは、彼女が正気に戻ったから(イヌカイが成仏したから)かもしれません。

直人と倉持の会 Vol.1
≪東京、大阪、名古屋、高松、高知、長崎、福岡≫
出演:竹中直人、中越典子、マイコ、馬渕英俚可、篠原ともえ、安藤玉恵、浜野謙太、風吹ジュン
脚本・演出:倉持裕 美術:中根聡子○照明: 倉本泰史○音楽: 田中馨(ショピン/Hei Tanaka)○音響: 高塩顕○衣裳: 兼子潤子○ヘアメイク: 山内聖子○演出助手: 松倉良子○舞台監督: 菅野将機○宣伝美術: 坂本志保○宣伝写真: 三浦憲治○印刷: 凸版印刷○企画:竹中直人○制作協力: フロム・ファーストプロダクション/プラグマックス&エンタテインメント○宣伝・公式サイト: ディップス・プラネット○票券: 小林茂男○制作助手: 津吹由美子/たけいけいこ○制作: 中村文重(中村ステージプロダクション)
【休演日】12/23 【発売日】2013/10/10 全席指定6,800円
http://www.naoto-kuramochi.com/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2013年12月26日 22:57 | TrackBack (0)