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2014年02月04日

東宝芸能・キューブ『ミュージカル「シャーロック ホームズ~アンダーソン家の秘密~」』01/22-02/04東京芸術劇場 プレイハウス

 2011年初演の韓国創作ミュージカルの日本版です。演出は板垣恭一さん。パンフレットによると、上演台本には部分的に変更を加えられたそうです。上演時間はサービス満点のカーテンコール含む約3時間(途中休憩20分を含む)。

 ワトソンが女性(一路真輝)、しかも“金の亡者”(笑)という設定になっていることで、原作のイメージはほぼ消え、ある探偵とその助手が活躍する謎解きエンターテインメントになっていました。何も考えずに観に行って、ストーリーに引き込まれて最後まで楽しめる作品だと思いました。多地域ツアーがあります。

 ⇒CoRich舞台芸術!『シャーロック ホームズ~アンダーソン家の秘密~

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 19世紀末のロンドン。クリスマスの夜にイギリスの名門アンダーソン家で2発の銃声が響く。邸宅にいたのは家長アダム・アンダーソンと双子の弟エリック・アンダーソン、そして2人に愛され、今はアダムの婚約者となったルーシー。
 その事件直後から、ルーシーは行方不明となり・・・。

 難事件解決が人生の楽しみそのものであるシャーロックホームズの元に、アンダーソン家の3人の男が次々と調査依頼にやって来る。
 一人は、アンダーソングループの会長でもある長男のアダム。
 一人は、兄の陰に隠れるように生きる弟エリック。
 そしてもう一人、ボディーガードを伴って現れたのは、2人の叔父でアンダーソングループ副会長である野心家のポビー。
 単純な失踪事件ではなさそうなこの案件にホームズは彼自身の偏執的好奇心をそそられ、本格的捜査に、助手のワトソンと共に本格的に着手する。
 ほどなくアンダーソン家の周辺人物が一人ずつ殺害され始め・・・。
 ≪ここまで≫

 上下(かみしも)に移動する大きなパネル数枚に、プロジェクション・マッピングの映像を映写して場面転換します。
 犯人が誰かは早いうちになんとなく予想がつくのですが、事件にかかわる人々全員にどんな結末が、どのように訪れるのかに興味を引かれて、ずっと集中して観ていられました。関西出身の俳優さんが多いせいか、お笑いの要素も目だってましたね。

 見どころはなんといっても双子の兄弟を1人で演じる浦井健治さん。兄はいかにもわがままでいけ好かないお坊ちゃま、弟は痛々しいぐら優しくて気弱な草食系男子で、対照的なのです。2つの役の演じ分けはもちろん、歌の声色も変えていらっしゃいました。演技は柔軟で切り替えも素早く、すっきり通る歌声も良かったです。浦井さん目当てで観に行っても損はないんじゃないでしょうか。

 宇野まり絵さんは歌って踊れるスタイルのいい女優さんで、コメディーもやれる方なんですね。色んな役で出て来られる度に楽しかったです。

 ここからネタバレします。これからご覧になる方は絶対に読まないでくださいね!

 クリスマスの夜、ルーシー(昆夏美)は婚約者だった兄アダム(浦井健治)とその浮気相手の女優を、2発の銃弾で射殺してしまいました。それを目撃した弟エリック(浦井健治)は、愛するルーシーをかばうために様々な陰謀を企て実行し、犯罪をおかしていきます。
 エリックは父を暗殺した叔父(大澄賢也)への復讐も果たし、計画どおりに自分が全ての罪をかぶって投獄されることに。ホームズ(橋本さとし)は真実を突き止めていましたが、依頼人であるエリックの望み通り、すべて秘密にすると約束します。やがてルーシーは死んだ兄アダムの未亡人として遺産を相続する(だろう)という、アンハッピーだけれども、ある意味ではハッピーとも受け取れる結末でした。

 エリックが嘘をついて“女優はアヘン漬けにして外国に放り出した”ことにしていましたが、アダムはどうなったんでしたっけ…忘れちゃいました。エリックは2人の死体をどう処理したのかしら。ルーシーがあのままエリックの希望どおりに幸せになるとは思えなかったな~。いつかは自分の罪を知り、罰を受けるんじゃないかな~などと考えちゃいましたね。

韓国版タイトル:셜록홈즈앤더슨가의 비밀
Musical Sharlock Homes Secret of the Underson Family
≪大阪、東京、福岡、長野、愛知、宮城、岩手≫
出演:橋本さとし、一路真輝、浦井健治、昆夏美、石井一彰、宇野まり絵、竹下宏太郎、コング桑田、大澄賢也
アコーディオン:佐藤史朗 ヴァイオリン:岸倫仔 ピアノ:松田眞樹 ドラム:沼直也 ベース:榎本高
訳詞:森雪之丞 上演台本:中谷まゆみ 演出:板垣恭一 脚本・作詞/ノ・ウソン 音楽/チェ・ジョンユン 音楽監督/佐藤史朗 振付/前田清実 美術/BOKETA 映像/上田大樹  照明/高見和義 音響/中島正人 衣裳/宮本宣子 ヘアメイク/岩井マミ 歌唱指導/山口正義 稽古ピアノ/中條純子  演出助手/長町多寿子 舞台監督/今西祥太 翻訳・プロダクション・コーディネイト/キム・テイ 宣伝美術/七島健彰、高橋尚睦(朝日広告社) 撮影/中島洋介(smooth inc) 広報宣伝/米田律子 太齋志保 制作/川上雄一郎 川上美幸  プロデューサー/栗間左千乃、高橋典子 エグゼクティブ・プロデューサー/市村朝一、北牧裕幸 東京公演企画・製作:東宝芸能・キューブ
MUSICAL SHERLOCK HOLMES BOOK & LYRICS BY ROH, WOO SUNG MUSIC BY CHOI, JONG YOON  ORIGINAL PRODUCTION LEHI
【休演日】1/27【発売日】2013/11/02 S席:10,500円/A席:7,350円
http://www.s-holmes.com/
http://l-tike.com/play/s-holmes/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2014年02月04日 22:59 | TrackBack (0)