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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2014年03月09日

流山児★事務所『田園に死す』02/28-03/10ザ・スズナリ

 流山児★事務所の『田園に死す』は天野天街さんが寺山修司作品を脚色・構成・演出した作品で、2009年に初演され、流山児★事務所はその年の紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞しました。2011年に再演がありましたが、私は今年の最終公演(再々演)で初めて拝見しました。上演時間は約2時間10分休憩なし。

 寺山修司の自伝的映画『田園に死す』をもとにしたメタ構造のお芝居で、短いシーンを積み重ねて寺山修司というアーティストの10~40代の人生と、彼の作品(詩、演劇、映画)を立体化していきます。このお芝居自体が“寺山修司”そのものであり、同時に“天野天街”でもあるように感じました。

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 ≪あらすじ≫
 父を戦争で亡くして母と暮らしているシンジは、口うるさい母にうんざりして家出を考えている。「一緒に東京にかけおちしよう」と持ち掛ける人妻が現れ…。
 ≪ここまで≫

 プロジェクション・マッピングやアナログの手品的仕掛けなど、小刻みに変容し続ける凝りに凝った演出です。やっぱり群舞は見どころですね。流山児★事務所はミュージカルもよく上演されていますし、劇団員の皆さんは海外ツアーにも参加されていて、舞台俳優としての底力がアップしているのではないかと思いました。

 2時間10分は少々長く感じました。繰り返しの多用は天野作品の特徴ですが、もし1時間30分ぐらいに凝縮すれば、鮮烈な悪夢のような体験としてより魅力が増す気がします。その方が忘れられないお芝居になるんじゃないかと、勝手ながら思いました。

 ここからネタバレします。

 お腹を自転車用空気入れで膨らませる“せつ”役の坂井香奈美さんの、艶のある演技が魅惑的でした。
 最後は舞台奥の壁が開き、ザ・スズナリの外観を完コピした舞台美術が姿を現します。原作の映画のように、このお芝居自体もメタ演劇にする仕掛けに心躍りました。

出演:大内厚雄、伊藤弘子、小川輝晃、木暮拓矢、深山洋貴、小林七緒、冨澤力、柏倉太郎、平野直美、沖田乱、中田春介、蒲公仁、眞藤ヒロシ、坂井香奈美、阿萬由美、山下直哉、荒木理恵、山丸莉菜、小寺悠介、竹田邦彦、辻京太、飯塚克之、日下部そう、後藤英樹、桜井玲奈、藤村直樹、酒井和哉、藤村一成、小林夢二、鶴田理紗、宮川安利、佐原由美、艶嬢さとみ、さとうこうじ、流山児祥
原作:寺山修司 脚色・構成・演出:天野天街 【音楽】J・A・シーザー【芸術監督】流山児祥【美術】水谷雄司【照明】小木曽千倉【音響】岩野直人【振付】夕沈【映像】濱島将裕【舞台監督】伊東龍彦 小林岳郎【演出助手】小林七緒 石坂雷雨【制作】米山恭子【宣伝美術・絵】 花輪和一【宣伝美術・文字】 山田勇男【Special thanks】九條今日子【主催】流山児★事務所
【発売日】2014/01/09 前売:4,200円 当日:4,500円 学生券:3,500円(要学生証提示 流山児★事務所、ザ・スズナリでの取扱のみ) * 当日券の発売は開演の1時間前より。
http://www.ryuzanji.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2014年03月09日 22:38 | TrackBack (0)