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しのぶの演劇レビュー
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2014年04月18日

Quaras『夜中に犬に起こった奇妙な事件』04/04-20世田谷パブリックシアター

 ジャニーズ事務所所属の森田剛さん主演のストレート・プレイです。演出は鈴木裕美さん。『夜中に犬に起こった奇妙な事件』は2012年にロンドンで初演された海外戯曲ですが、蓬莱竜太さんの脚色によって、静岡を舞台にした日本のお話になっていました。上演時間は約3時間10分(途中15分の休憩を含む)。

 ⇒公演公式facebookページ
 ⇒ロンドン公演をご覧になった方の詳しい感想
 ⇒ロンドン公演の小さい舞台写真がまとめて見られるページ

 ⇒CoRich舞台芸術!『夜中に犬に起こった奇妙な事件

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
15歳の少年の幸人(森田剛)はある日、近所に住む佐久間婦人の家の庭で、
彼女の飼い犬が石で殴り殺され死んでいるのを発見する。

犬を殺したのではないかと疑われた幸人は独力で犯人捜しを始め、
担任の瑛子(小島聖)からアドバイスを受け、その内容をノートに書き付けていく。
そして近所の白瀬さん(木野花)らに聞き込みを行おうとするが、
父親の誠(入江雅人)は、他人のことに首を突っ込むな、と息子を叱りつけるのだった。

幸人は誠の言いつけを聞かずに捜査を続けていたが、
誠が捜査の詳細を書いたノートを見つけ、
言う事を聞かない息子を殴り、ノートを取り上げてしまう。

幸人は、取り上げられたノートを探そうと誠の部屋を調べていると、自分宛ての手紙を何通か見つける。
その手紙の差出人は、2年前に病院で心臓発作により急死した母親の広美(高岡早紀)からだった―――。
 ≪ここまで≫ 

 物語は単純に明るいものではないのですが、俳優さんたちの息の合ったコンビネーションで素早く軽やかに展開していきます。客席は森田さんのファンの女性が大半でしょうから、暗く、重くなり過ぎないようにという演出意図もあるんだろうと思います。
 日本の地名がたくさん出てくるし、映像で日本語もバンバン表示されるのに、なぜか私は西洋のお話であるように感じていました。不思議だな~。

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 ここからネタバレします。セリフ等は正確ではありません。

 新幹線の車窓から見える景色を黒板に映写している時、東静岡のグランシップが見えて気分がちょっとアガリました(笑)。

 幸人(ユキト=森田剛)は先生(小島聖)の勧めで、犬殺しの犯人捜しの日々をノートに記録し続けます。やがてそれが学校で劇として上演されるので、このお芝居そのものが学校で上演された作品であるという劇中劇の構造になっています。それがはっきりわかるような仕掛けが、演技や演出にもっと散りばめられているといいなと思いました。
 また、幸人の学校には障害のある子供たちが通っており、たぶん石鹸や汚物などを食べてしまう子供もいました。そういう学校の雰囲気も感じ取りたかったです。

 幸人は殺された犬のことが好きだったから、犯人を捜し出そうとします。彼にとってはただの犬ではなく、とても大切な存在だったんですよね、きっと家族や他の人間と同じぐらいに。数学検定準一級に合格し、自分のノートを基にした劇の上演にも成功した幸人は「一人で東京に行って自信がついた」「僕は何でもできる」とつぶやきます。犬殺しの犯人だった父親(入江雅人)と幸人との関係は、父親が新しく飼うようになった犬(本物のゴールデンレトリバー)のおかげで修復されていきました。幸人(人間)と犬(動物)の違いとは何なのか。そういう問いもあるんだと思います。

 俳優さんがお辞儀をするカーテンコールの後に、幸人が解いた数学の問題を解説するライヴ形式の場面がありました。森田さんはピカピカの装飾入りの衣装に、他の俳優さんは全員が真っ赤な衣装に着替えて登場します。映像でもド派手に盛り上げてくれました。このおかげで(?)お約束のスタンディング・オベーションになるムードがなくなって、個人的には本当に良かったです。

≪東京、大阪≫
"The Curious Incident of the Dog in the Night-time"
出演:森田剛、高岡早紀、小島聖、西尾まり、宮菜穂子、柴一平、安田栄徳、石橋徹郎、久保酎吉、入江雅人、木野花
原作:マーク・ハッドン(Mark Haddon) 脚本:サイモン・スティーヴンス(Simon Stephens) 演出:鈴木裕美 翻訳:広田敦郎 美術:奥村泰彦 照明:小川幾雄 映像:秋葉哲也 音楽:かみむら周平 音響:長野朋美 衣裳:関けいこ ヘアメイク:宮内宏明 振付:熊谷拓明・柴一平 演出助手:福原麻衣 舞台監督:村田明 映像機器:マルチバックス 制作:ドラマチック・デパートメント 運営協力:キョードー大阪(大阪公演) 宣伝:ディップス・プラネット プロデューサー:堂本奈緒美(東京グローブ座) 古田直子(Quaras) 主催:東京グローブ座 企画・製作:Quaras
【休演日】4/9,16【発売日】2014/03/01 S席11,000円 A席9,000円 (全席指定・税込)
http://www.cidn.jp/


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2014年04月18日 22:14 | TrackBack (0)