東京の亀戸にあるネビュラエクストラサポート(Next)のミーティングルームにて、舞台芸術制作者オープンネットワーク[ON-PAM]文化政策委員会の「キックオフ・ミーティング」が開催されました。この日の参加者は25名。
[ON-PAM]アクテビティWebサイトに掲載する文化政策委員会のレポート執筆の協力をさせていただきました。以下、私が担当した部分を転載いたします。
2013年の[ON-PAM]文化政策委員会についてのエントリー⇒1、2、3
[ON-PAM]はアーティスト・芸術団体と観客の間を繋ぐ全国的・国際的な会員制ネットワークです。舞台芸術の制作者でなくとも入会可能です。⇒入会案内
まず80日間の英国留学から帰国したばかりの文化政策委員会の委員長、伊藤達哉さんより今年度の方針についてお話がありました。文化政策委員会はその名のとおり文化政策について研究し、具体的な政策提言を行っていくことも目的の1つとしています。ただ、ON-PAMとして提言を1つにまとめあげるのではなく、会員の多様性を重視した組織であるON-PAMならではの方法を探るのもいいのではないかと述べられました。
次に昨年度に実施された3回の文化政策ラボについて、各担当者より簡潔な報告がありました。第1回は演出家の鈴木忠志さんをゲストに招いたディスカッション(担当:伊藤)、第2回は助成金を出す側の担当者が一堂に会し、制作者の質問に答える討論会(担当:中村茜)、第3回は座・高円寺の芸術監督である佐藤信さんの基調講演と、フェスティバル/トーキョー元実行委員長の市村作知雄さん、ウィーン芸術週間の前ディレクターのシュテファニー・カープさんと前ドラマターグのマティアス・ピースさん、そして佐藤さんを交えたパネル・ディスカッション(担当:丸岡ひろみ)でした。
今年度もまた3回実施される文化政策ラボの開催方法について、今回の進行をつとめる武田知也さんから説明がありました。昨年度はすべて3時間ほどだったため、ゲストの話を聴いただけでその後の議論が深まらなかったことや、開催地が東京だけだったことなどが問題点として挙げられました。
その後の質疑応答では、会員から「3回のうち1回は1泊2日の合宿形式で行い、あとの2回は1日間(朝から夜まで)にしてはどうか?」、「合宿形式の会場は首都圏以外がいい」などの意見が出ました。
次回の文化政策ラボは6月に開催予定で、去る3月に文化庁が発表した「文化芸術立国中期プラン」をテーマの候補として検討していることなどが、担当の中村さんから発表されました(注:他にも候補のテーマがあり、詳細は決まり次第、告知するとのこと)。
参考:『文化芸術立国中期プラン~2020年に日本が,「世界の文化芸術の交流のハブ」となる~』
また、12月の文化政策ラボの担当者である伊藤さんは「ラボの実行メンバーになることに、自分はメリットしか感じていません」と語り、文化政策委員会の活動への積極的参加を会員に勧めました。
今回のキックオフ・ミーディングでは1人ずつの自己紹介は行わず、新しい試みとして“ワールド・カフェ”形式によるディスカッションを行いました。
参考:ワールド・カフェとは?
1つのテーブルに着席している約5人で、与えられたテーマについて10~15分ほど話をします。リラックスして、自由に、相手を尊重してお互いの話を遮らないことなどがルールです。各テーブルの代表者1名が話し合った内容を簡単に報告してから、座席を移動して新しいグループを作り、また次のテーマについて話し合いを始めます。テーマは「なぜ制作をやっているのか」「制作にとって大切なこと/制作として大事にしてることは?」「文化政策委員会に期待すること」「文化政策委員会で取り組むべきこと/話し合うべきこと」でした。テーブルの上には大きな模造紙が貼り付けられてあり、誰もがメモをすることができます。白い紙が文字で黒く埋まっていくのを見ることで、議論が積み上げられたことを視覚的に確認できました。
進行の武田さんのスムーズな誘導により、とてもで実りの多いディスカッションになったと思います。「少人数で話せて良かった」という声もありました。個人的には「物事には二面性があり、ピンチからチャンスを見つけられる」「制作者に必要なのは鈍感力」という話が印象に残っています。ON-PAM会員それぞれが持つ知識や知恵の一部を、大人数で一気に共有できたように感じました。終了後の懇親会でも初めて会った方々と有意義な交流ができました。
より詳しい内容がアクテビティWebサイトに掲載されています。ぜひご覧ください。
写真提供:ON-PAM
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