スタジオライフ『トーマの心臓』初日レポートを劇団よりご提供いただきました。以下、転載いたします。私は5/28(水)のKabinettチームのゲネプロを拝見しましたので、後日簡単な写真レポートを掲載予定です。
『トーマの心臓』は劇団創立29年目になるStudio Lifeの代表作中の代表作で、今回がなんと8度目の上演。原作は文句なしの名作です。新しい舞台美術ですが印象に残る音楽やステージングはあまり変わってはいません。「これがスタジオライフです」と言って差し支えない公演だと思います。
●Studio Life『トーマの心臓』⇒製作発表レポート
東京公演:5月24日(土)~6月22日(日)@紀伊國屋ホール
大阪公演:7月11日(金)~13日(日)@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※Auslese(アウスレーゼ)、Spatlese(シュペートレーゼ)、Riesling(リースリング)、Kabinett(カビネット)のクアドラプル(4種類)・キャスト。
⇒CoRich舞台芸術!『トーマの心臓』
【舞台写真↓上から:山本芳樹、及川健】
●原作:萩尾望都(C)小学館文庫
スタジオライフ『トーマの心臓』ついに開幕!
「名作は時を越え、少年たちは大人になる。」
天才漫画家・萩尾望都の不朽の名作「トーマの心臓」を舞台化し、その世界観を見事に再現したことで日本の演劇界に確固たる地位を築いた劇団スタジオライフ。上演する度に観客動員数を伸ばし、様々な奇跡を巻き起こしてきた劇団代表作「トーマの心臓」が、5月24日(土)に新宿・紀伊國屋ホールで4年ぶり8度目の幕を開けた。
主役のユリスモールを務めるのは、これが7 回目の同役となる山本芳樹。「トーマの心臓」を上演するために開かれたオーディションで1995年に入団した山本の演技はユリスモールそのもので、どこからが彼でどこからが役なのかさえも解らない。相手役エーリクを務めるのもこの役が11年ぶりとなる山本と同期入団の及川健。その息の合った演技、目を見つめあっただけで伝わる空気感はもはや伝統芸能の域に近い。だが今回驚いたのは、その伝統芸の形を打ち破り、またもや新しいユリスモール像を山本芳樹が構築していたことである。同じ役を7回も務めながら、今なお新しい表現を追求するその姿勢には表現者としての飽くなき探求心と努力を感じ、頭が下がるばかりである。
そして、今回特筆すべきなのは、スタジオライフのベテラン役者たちの層の厚さを実感できることである。山﨑康一が演じるヴェルナー、その妻・ヴェルナー夫人を演じた石飛幸治の演技は特筆に値する。愛する息子を亡くした父親と母親が、息子に瓜二つの少年エーリクと対面しつかの間心を通い合わせるシーンは、心が震えるほど素晴らしく深い。かつて、主人公の少年たちユリスモールとレドヴィを演じた山﨑と石飛が、時が立ち大人になって今度はその少年たちの親を演じることに、深い感慨と感動を覚えるファンはきっと私だけではないだろう。劇団創立29年目というスタジオライフだからこそ、その劇団を長く見続けているファンだからこそ味わえる感動と興奮が確かに存在する。そういう熱烈な観客に支えられ愛されて来たからこそ、スタジオライフは今もまだ演劇界で奇跡を起こし続けているのだろう。
【舞台写真↓左から:及川健、山本芳樹】
少女漫画作品を多く舞台化しているイメージからか、若手イケメン劇団などいう括りで捉えられている節もあるが、スタジオライフは層の厚いベテラン役者たちの素晴らしい演技と、若手役者たちの瑞々しいフレッシュな演技で形成されている演劇集団である。ここまで純粋に芝居を愛し、生真面目に真っ直ぐに演劇を創作し続けている集団を私は他に知らない。40年前に描かれた名作漫画「トーマの心臓」が今もなお色褪せず至高の高みにいるように、それを舞台化するスタジオライフの存在も色あせない。名作は時を越え、少年たちは大人になった。しかし、それは希望の物語なのである。
スタジオライフ公演「トーマの心臓」は、4チームのクアドラプルキャストで6 月22 日(日)まで上演中。
(文:萩尾冴詠)
原作『トーマの心臓』↓ 舞台を観てから読んでも、読んでから観ても、より一層楽しめると思います。
『訪問者』↓は『トーマの心臓』のメインキャラクターであるオスカーのサイドストーリー。とてもお薦めです。
【出演】ユリスモール:山本芳樹/松本慎也 エーリク:及川健/久保優二/田中俊裕 オスカー:岩﨑大/仲原裕之 レドヴィ:関戸博一 アンテ:宇佐見輝 バッカス:牧島進一/原田洋二郎 サイフリート:青木隆敏 ミュラー校長:曽世海司 シュヴァルツ:楢原秀佳 ヴェルナー氏:山﨑康一 ヴェルナー夫人:石飛幸治 その他:緒方和也 澤井俊輝 鈴木翔音 若林健吾 千葉健玖 藤波瞬平 他 ※A・S・R・Kのクアドラプルキャスト公演となります。 ※出演者は都合ににより変更となる場合もございます。
原作:萩尾望都 脚本・演出:倉田淳 舞台美術:乗峯雅寛 舞台監督:倉本徹 音響:竹下亮(Office my on) 照明:阪口美和 衣装:竹原典子 ヘアメイク:河村和枝(p-bird) アクション:渥美博 演出助手:平河夏 大道具:俳優座劇場 宣伝デザイン:福田真一 イラスト:東逸子 デスク:武井啓子 制作:稲田佳織 大野純也 宮崎千琴 横塚夏奈 プロデューサー:河内喜一朗
一般<前売> 5,800円 一般<当日> 6,000円 club LIFE会員<前売・当日共> 5,600円 ウイークデイ・サンキューチケット<前売限定販売> 3,900円 ※未就学児童入場はご遠慮ください。
劇団HP:http://www.studio-life.com/
「トーマの心臓」公演HP:http://www.studio-life.com/stage/toma2014/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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