前川知大さんが作・演出される人気劇団イキウメの3地域ツアーです(⇒前回のレビュー、⇒詳しい戯曲紹介 ⇒オーディション告知)。『関数ドミノ』は2005年初演、2009年再演、そして今回が再々演となります。上演時間は約1時間50分。シアタートラムでの東京公演は6/15まで。その後、大阪、新潟公演あり。⇒公式ツイッター
現代日本を舞台にSF的な設定を生かしたストレート・プレイです。犯人(=ドミノ)探しのスリルが続く中、息抜きになる軽快な笑いが挟み込まれ、ドシンと重たい問題提起もしています。登場人物が減ったり結末が変わったりしていますし、劇場も舞台美術も演出も違いますので、前回観た方も観ていない方もお気兼ねなくどうぞ♪
【舞台写真↓左より、安井順平、伊勢佳世、浜田信也 撮影:田中亜紀】
⇒CoRich舞台芸術!『関数ドミノ』
≪あらすじ・作品紹介≫ CoRich舞台芸術!より。
「ドミノ幻想」では、
世界はある特定の人間を中心にして回っていると考える。
願ったことが必ずかなうドミノという存在がいる。
右か左か、進むか止まるか。
二者択一の洪水の中、ドミノによって、行く末が決定されていく。
ドミノは思いの強さに比例し、スピードを上げる。
最も速いものは「ドミノ一個」と呼ばれ、願った瞬間に結果が現れる。
それは奇跡と呼ばれる。
ある地方都市で奇妙な交通事故が起こる。
見渡しの悪い交差点、車の運転手は歩行者を発見するが、既に停止できる距離ではない。
しかし車は歩行者の数センチ手前で、まるで透明な壁に衝突するように大破した。
歩行者は無傷。
幸い運転手は軽傷だったが、助手席の同乗者は重傷。目撃者は六人。
保険調査員の横道はこの不可解な事故の再調査を依頼される。
改めて当事者と目撃者が集められた。
そこで目撃者の一人が、これはある特別な人間「ドミノ」が起こした奇跡であると主張する。
彼の発言は荒唐無稽なものだったが、次第にその考えを裏付けるような出来事が起こっていく。
初演2005年、再演2009年。
進化を続ける「関数ドミノ」、アップデートした新型2014 年版です。
≪ここまで≫
↓台本販売中! ※会場はシアタートラムです。
日曜から世田谷パブリックシアターで再演される、イキウメ『関数ドミノ』の販売台本に前川知大さんとハイバイの岩井秀人さんの対談を書かせてもらいました。同じように高校ドロップアウトして、同い年で、同じぐらい怖がりで、同じぐらい実は熱血な、二人の対談です。
— Kyoko Iwaki 岩城京子 (@KIIWAKII) 2014, 5月 23
ある青年が交通事故に遭ったのですが、彼は傷一つなくピンピンしており、事故を起こした車の助手席に座っていた女性は生死の境をさまよっています。事故を目撃した人々が集まって、その“奇跡”の原因を探っていきます。舞台の周囲には、登場人物それぞれのバックグラウンドを示す家具や身の回りの品が点在しています。ステージ中央で行われる目撃者たちの会議と、話題にのぼる事故の当事者たちの日常生活とが同時並行に演じられました。
開幕して間もなく拝見しまして、演技が少々説明的すぎるような印象を受けましたが、回を重ねて変わってきていることと思います。
私は「未来は自分が想像したとおりになる」と信じているタイプの人間です。それは「望めば叶う」という楽観主義で、人間の想像力の可能性に頼り切っている(甘えている)のかもしれません。でも「想像し得ないものは実現できない」という、極シンプルな事実を突きつけられているからでもあります。そういえば『従軍中のウィトゲンシュタインが(略)』もそういうテーマでしたよね。『関数ドミノ』は人間の想像力や望みの実現を信じる力を、プラスとマイナスの両面から描く娯楽演劇だと思います。
【舞台写真↓中央は安井順平 撮影:田中亜紀】
ここからネタバレします。結末はツアー終了後にできれば加筆予定。
目撃者の一人である眞壁(安井順平)は、事故に遭った青年(大窪人衛)の兄である予備校講師の森魚(浜田信也)が奇跡を起こしたのだという持論を展開します。森魚こそが、願ったことが全て実現する、何でも彼の思った通りになる“ドミノ”なのだと。目撃者たちはチームを組んで、森魚がドミノであることを証明するために、彼の私生活に接触していきます。
2009年版とは全く違う結末でした。…反省してしまいました。
≪東京、大阪、新潟≫ ※舞台写真は劇団より提供。
【出演】目撃者・左門森魚(予備校講師):浜田信也、目撃者・眞壁:安井順平、目撃者・看護師:伊勢佳世、目撃者・医師(眞壁の中学時代の同級生):盛隆二、保険調査員:岩本幸子、目撃者・HIVポジティブ:森下創、森魚の弟の陽一・事故に遭ったのにピンピン:大窪人衛、事故を起こした運転手:新倉ケンタ、目撃者・洋一の陽人:吉田蒼
脚本・演出:前川知大 美術:土岐研一 照明:松本大介 音楽:かみむら周平 音響:青木タクヘイ 衣裳:今村あずさ ヘアメイク:西川直子 演出助手:渡邊千穂 舞台監督:谷澤拓巳 川除学 宣伝美術:鈴木成一デザイン室 アートワーク:安瀬英雄/DMOARTS 制作:湯川麦子 プロデューサー:中島隆裕 演出部:山崎牧 照明操作:芦辺靖 音響操作:堤裕吏衣 大道具制作:C-COM 運搬:マイド 当日運営:藤木やよい 東京公演主催:イキウメ/エッチビイ
【休演日】6/2,9【発売日】2014/04/12 前売 4,200 円 / 当日 4,400 円(全席指定・税込) ※5/25(日)プレビュー公演 3,800 円(前売・当日共通) 当日券は開演 1 時間前より劇場受付にて販売いたします。
「関数ドミノ2014年版上演台本/A5版 56ページ/巻末対談(岩井秀人×前川知大) を併録。
http://www.ikiume.jp/kouengaiyou.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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