雑誌クロワッサンNO.881に、こまつ座『兄おとうと』と文学座アトリエの会『終の楽園』の紹介記事を書かせていただきました。よろしければぜひお求めください。
『終の楽園』は7月26日から開幕。前売りが好調です。⇒残席のご確認 ⇒CoRich舞台芸術!
『兄おとうと』は紀伊國屋サザンシアターで8月17日(日)~8月31日(日)。 ⇒CoRich舞台芸術!
※原稿を以下に転載しました(2014/07/27)。
■劇作家が心血を注いで紡ぎ出す“せりふ”
命が吹き込まれた言葉が劇場できらめく。
俳優が発した言葉に驚き震えて、涙が頬を伝うことがある。それは劇作家が心血を注いで紡ぎ出したせりふに、本物の意味と生命が吹き込まれたから。今夏は二つの芝居でそんな瞬間に出合えるかもしれない。
巨匠・井上ひさしが遺した傑作『兄おとうと』は三度目の再演だ。「民主主義の父」と呼ばれた大正デモクラシーの先駆者・吉野作造(辻萬長)と、その弟で高級官僚の信次(大鷹明良)が、正反対の信条を掲げて大喧嘩。二人に嫁いだ姉妹(剣幸と高橋紀恵)らが庶民の声を代弁し、人間が今も昔も求め続ける幸福の形が浮かび上がる。演出は初演から引き続き鵜山仁が手掛ける。市井の人々の営みを、詩情豊かに芝居のダイナミズムへと昇華させる手腕は圧倒的だ。歌あり踊りありの音楽評伝劇は、懐かしくも新しい、豊饒な観劇体験を約束してくれる。
井上に師事した新鋭劇作家、長田育恵の新作『終の楽園』も鵜山が演出する。劇場は60余年の歴史を刻む小空間、文学座アトリエ。長田は自身の「演劇ユニットてがみ座」の作品で歴史上の人物を瑞々しく活写する筆致が高く評価された。今回は現代劇で、高級老人ホームの最上階で一人暮らす男性と、その最期の時を待つ四人の子供たちの歪んだ関係を描く。心の機微を丹念にすくい取った言葉を存分に味わいたい。
文・高野しのぶ
たかの・しのぶ●現代演劇ウォッチャー。「しのぶの演劇レビュー」主宰。お薦めの舞台を紹介する無料メルマガを月1回発行中。
⇒兄おとうと [Kindle版]
⇒文学座公演公式ブログ「掲載情報 7/10発売 雑誌「クロワッサン」(マガジンハウス)」
文学座7・8月アトリエの会『終の楽園』 本日発売の雑誌クロワッサンに紹介記事を掲載していただきました!こまつ座「兄おとうと」との併記です。ご興味のある方、ぜひご購読ください。寄稿者高野しのぶさんの観劇記は面白いので興味ある方は→ http://t.co/KawnCtizzG
— 矢部修治 (@chinesecompany) 2014, 7月 10
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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