柴幸男さんの2年振りの新作『わたしの星』の出演者は、オーディションで選ばれた高校生10人(⇒告知エントリー)。岸田國士戯曲賞受賞作『わが星』の世界を引き継いだ近未来のお話でした。上演時間は約1時間40分。
3年生メグ役(米屋の娘)の吉田恵さんと、唯一の男性キャストの生駒元輝さんは王子小劇場の高校生向けワークショップの参加者でした。オーディション合格者10人の中の2人とは高確率!吉田さんは2012年の高校演劇地区大会に出演されており、私は審査をさせていただいておりました。ご縁ですね~。終演後に声をかけてくださってありがとうございました!
ままごと「わたしの星」に王子小劇場の高校生向けワークショップに参加してた女子高生が出演してて、勝手に嬉しかった。オーディションに受かったんだね。おめでとうございます! pic.twitter.com/2BukKvl85p
— 高野しのぶ (@shinorev) 2014, 8月 24
⇒ぴあプラス8月号「柴幸男インタビュー」(文:徳永京子)
⇒朝日新聞の劇評「ままごと「わたしの星」 明るさが引き出す寂寥」(徳永京子)
⇒ままごと「戯曲公開プロジェクト」※『わたしの星』もダウンロード可
⇒高校生スタッフによる記録
⇒CoRich舞台芸術!『わたしの星』
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
拝啓 Spica
お元気ですか。新しい星の生活には慣れましたか。
あなたがこの星を発ってから、こっちはずっと夏のまま。
星空を見るとつい、あなたを探してしまいます。
星に引力があるように、人にも引力がある。
わたし、あなたのことが大好きで、大嫌いでした。
この手紙が届くころ、あなたは夜空のどこにいるでしょう。
たとえ、どれだけ離れても、あなたはずっとわたしの星。
時報を合図に、少女と星の一生を描いた『わが星』。
その世界観を引き継いで、東京では2年ぶりとなる柴幸男の新作『わたしの星』が誕生します。出演するのは、オーディションで選ばれた高校生たち10人。今回はスタッフにも高校生が参加します。演劇を「ままごと」のようにより身近に。より豊かに― その思いを大切に、2009年の旗揚げ以来、さまざまな場所、人と作品を立ち上げてきた「ままごと」。この夏は東京で高校生たちと、新たな星の物語をつくり出します。
≪ここまで≫
お陰様でここ数年、高校演劇地区大会の審査員をさせていただいていることもあり、高校生が出演するお芝居を定期的かつ定量的に観劇しております。この作品はままごとの新作として拝見しましたが、私の中には他の高校演劇と比較する視点もあったと思います。
充実のスタッフワークに高校生にぴったりの新作戯曲、そして元気いっぱい、幸せいっぱいのキャストたち。贅沢で幸福な公演の形だと思いました。高校生出演者の皆さんは会話劇の他に歌も踊りも楽器演奏もこなし、積み上げてきた稽古が並大抵のものではなかったことがうかがえました。
ただ、出演者の中には“自分は青春時代の真っただ中にいる”と自覚した状態で、“選ばれた者だけが謳歌できる青春”を見せつけている人も少なくないように感じました。うわついた気持ちが透けて見えるようで、ちょっと興ざめしてしまったなぁ…。そういう演出だったのかもしれませんが。
ひねくれ者のごく個人的な考えですが、青春って、過ぎ去ってから振り返った時に「あれが青春だったんだなぁ」と、恥ずかしく、情けなく、懐かしく思い起こすものだと思うんですよね。青春は馬鹿みたいにひたむきで、無駄ばかりで、不恰好なものだからこそ、見る者の胸を打つわけで。
また、これはこの作品に限らずお芝居全般についての私見なのですが、私は俳優個人を観たいわけではないんです。その作品の中で生きている役を通じて、作品を観たい。緻密に作られたフィクションに我を忘れてどっぷりと浸って、存分に味わいたい。俳優について思いを馳せるのは、その後でいいんです。「あの役は素晴らしかった、誰が演じていたんだろう?」という風に。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:柴幸男+高校生スタッフ(女性5人)
出演者だけでなくスタッフも高校生から公募するという珍しい公演でした。
柴さんは「(僕たちと高校生は)上下関係にあるのではなく対等である」「その方が演劇づくりが面白くなるから」等とおっしゃっており、非常に謙虚で真っ当な大人のアーティストだと思いました。
新潟からスタッフとして参加している女子高生の発言に感激しました。⇒「今までは観客として普通に客席に座って観劇していたし、キャストばかりが凄いと思ってたけれど、そうじゃなかった。制作や他のスタッフが、いかにお客様をもてなす準備をしているか、思いやっているかがわかった。全員で支え合って公演が実現している」等。
演劇を志す高校生が、プロの演劇人とともに本格的な公演を一から作って上演する今回のような夏休みのイベントは、ぜひ継続されて欲しいと思いました。
出演 <オーディションで選ばれた高校生>:生駒元輝 坂本彩音 佐藤まい 西片愛夏 西田心 札内茜梨 山田奈々緒 吉田圭織 吉田恵 吉永夏帆
高校生スタッフ:新井悠里 小俣七海 小出実樹 徳野絵美理 中村瑠南 町田将太郎
作・演出:柴幸男 舞台監督=佐藤恵 美術=青木拓也 照明=伊藤泰行 音響=星野大輔(サウンドウィーズ) 衣装=藤谷香子(FAIFAI) 宣伝美術=セキコウ チラシ撮影=濱田英明 演出助手=濱野ゆき子、高梨辰也(トッコ演劇工房) 制作=加藤仲葉(ままごと)、森川健太(三鷹市芸術文化振興財団) 制作統括=森元隆樹(三鷹市芸術文化振興財団) 製作総指揮=宮永琢生(ままごと|ZuQnZ) 特別協力=急な坂スタジオ 協力=株式会社キューブ、株式会社ボックスコーポレーション 企画制作=ままごと(一般社団法人mamagoto) 公益財団法人三鷹市芸術文化振興財 主催=公益財団法人三鷹市芸術文化振興財団
[全席自由|日時指定|整理番号付]【前売】一般 2,500円|財団友の会会員 2,000円【当日】一般 2,800円|財団友の会会員 2,300円【学生】前売|当日 1,500円【高校生】前売|当日 1,000円【小・中学生】前売|当日 500円
※ 未就学児はご入場いただけません。
※ 開演時間を過ぎますと入場を制限させていただく場合がございますのでご注意ください。
※ 学生、高校生の方は、当日受付にて学生証の提示をお願い致します。
http://mitaka.jpn.org/ticket/140216w/
http://www.mamagoto.org/watashi-hoshi.html
http://mitaka.jpn.org/ticket/1408210/
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。