韓国創作ミュージカル『女神様が見ている』(原題:여신님이 보고 계셔)の初日を拝見し、観客も観覧・撮影可能なマスコミ取材会に参加させてただきました。上演時間は約2時間休憩なし。
『女神様~』は2012年に「ソウル・ミュージカル・フェスティバル」最優秀作品賞、2013年に韓国ミュージカル大賞最優秀脚本賞を受賞し、数か月間のロングラン公演を複数回おこなっている大人気ミュージカルです(⇒韓国公式サイト)。
時は朝鮮戦争中の1952年、舞台は南北両軍の兵士たちが漂着した無人島。人間性を奪う過酷な戦場で、敵同士の若者たちが想像力を使って共同生活していく姿を、スリリングかつコミカルに描きます。韓国ならではの素晴らしい作品でした。
【舞台写真↓カーテンコール中は撮影可能です】
●ミュージカル『女神様が見ている』⇒公演公式ツイッター
09/20-10/05世田谷パブリックシアター
一般 11,000円/劇場会員・区民割引等あり。未就学児童の入場不可。
※韓国語上演・日本語字幕付き
※チョン・ソンウとリョウクのダブルキャスト
⇒CoRich舞台芸術!『女神様が見ている』
⇒BLOGOS「"徴兵制のリアリティを日本の若者に感じて欲しい"~兵役を拒否し亡命中のイ・イェダ氏が会見」
≪あらすじ・作品紹介≫ 劇場公式サイトより
韓国の創作ミュージカルで、小劇場作品でありながら韓国ミュージカル大賞最優秀脚本賞を受賞するなど異例のヒットを記録した『女神様が見ている』。この珠玉の作品が、初来日を果たします。朝鮮戦争下の1950年代を舞台に、無人島に漂着した韓国・北朝鮮両軍兵士の交流を描いた感動作です。お見逃しなく。
「朝鮮戦争を背景にしているのですが、南・北どちらか一方だけを悪だと言いたくなかった。調和と希望を象徴する女神という存在を通して、理解と共感の話を伝えたかったのです。」~ハン・ジョンソク(脚本)
≪ここまで≫
難破した船を修理できるのは北の兵士リュ・スンホだけ。でもスンホは悪夢にうなされて全く仕事ができません。南の兵士がスンホに「この島には女神様がいて、いつも僕らを見ている」と説いたところ、スンホは女神様を信じ、「彼女のためになら何でもする!」とすっかり元気に。スンホのやる気を継続させるため、兵士たちは全員で、女神様が存在することを前提にした生活をすることにしました。女神様が見ているからケンカをしない、全員平等などのルールをつくり、女神様と見立てた祭壇に収穫物をそなえる等の儀式も行うことに。敵を監視し合う殺伐とした日々から一転、平和で文化的な暮らしが始まり、国の違いを越えて一人ひとりが交流していきます。人間が人間らしく、共に生きていくには、規則、習慣、儀式が必要なのだと教えてもらった気がしました。そして私たちを見つめている目には見えない存在も。
【写真左から敬称略:アン・ジェヨン(안재영)、チョ・ヒョンギュン(조형균)、ジン・ソンギュ(진선규)、ソン・ミヨン(손미영)、ユン・ソクヒョン(윤석현)、チョン・ソンウ(전성우)、チュ・ミンジン(주민진)】
1945年に日本が第二次世界大戦に敗戦し、1950年に勃発した朝鮮戦争が休戦してから、もう60年になります。望んだことではなかったのに1つの国が2つに引き裂かれ、今では韓国と北朝鮮という全く違う国になってしまいました。終演後の会見でわかったことですが、出演者の男性全員が兵役を終えられているそうです。つまりこれは当事者による舞台なんですよね。人間は歴史をこのように言葉にして、歌にして、共有しながら受け継いでいくのだなと感慨深く思いました。
舞台上で優しく歌い、元気に踊る兵士たちを見つめながら、日本には朝鮮特需があったという史実が頭から離れませんでした。若者たちが無理やり徴兵されて人殺しをさせられている裏で、私たちは金儲けをしていた…。なんとも苦々しい、苦しい気持ちです。朝鮮特需があった日本の国民である私も、この作品の当事者だと言えると思います。
韓国創作ミュージカル「女神様が見ている」。朝鮮戦争中に南北の兵士たちが無人島に漂着。極限を生き抜くには想像力と習慣(儀式•規則)が必要だった。韓国ならではの素晴らしい作品。映画「Life is beautiful」を思い出したり。 pic.twitter.com/okRYQ53MWC
— 高野しのぶ (@shinorev) 2014, 9月 20
映画「ライフ・イズ・ビューティフル」↓は強制収容所で生き抜くユダヤ人の親子のお話です。
沖縄戦下の女学生たちを描いた今日マチ子さんの漫画「cocoon」↓も人間の想像力の話ですね。
【出演 ※はダブルキャスト】南の隊長(空想の?子供に会いたい):チョ・ヒョンギュン/船を修理できるリュ・スンホ:チョン・ソンウ※/リョウク(SUPER JUNIOR)※/北の隊長(母に会いたい):ジン・ソンギュ/南の兵士(愛する人に告白できていない)):アン・ジェヨン/北の兵士(南に行きたい):ユン・ソクヒョン/北の兵士(妹に会いたい):チュ・ミンジン/女神など:ソン・ミヨン
脚本:ハン・ジョンソク 演出:パク・ソヨン 主催:アミューズ 韓ぴあ キョードー横浜 企画・制作:アミューズ/ヨヌ舞台
【休演日】9/22,25,29 10/2【発売日】2014/08/24 全席指定 一般 11,000円 友の会会員割引 9,900円 せたがやアーツカード会員割引 10,450円 ※未就学児童はご入場いただけません。
http://www.megamisama.jp/
http://www.musicalgoddess.com/
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2014/09/post_371.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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