昨年に続いて選考委員をつとめさせていただきました、高校生劇評グランプリの表彰式が行われました。受賞作はすべて公式サイトで公開されています。よかったらぜひお読みください。⇒高校生劇評グランプリ公式ツイッター
最優秀賞は文楽の劇評を書かれた高校2年生の吉原爽斗(よしはら・さやと)さん。吉原さんがご覧になった舞台(⇒私も偶然観てました)に出演されていた、文楽人形遣いの桐竹勘十郎さんがゲストとして登壇され、選考委員の1人である田中綾乃さんの司会進行により、受賞者との対談も実現しました。
⇒News-Headline「高校生の分析に勘十郎も驚倒、「第2回高校生劇評グランプリ」表彰式レポ―ト」(2015.03/31)
「第2回高校生劇評グランプリ」表彰式終了。「シンパシーとワンダーがあって初めて傑作になる」のなら、今日の受賞者の皆さんの言葉もそれに値するものだった。共感すると同時に気づき(驚異)を沢山いただいた。おめでとうございます。また劇場で! pic.twitter.com/ViQt8kQPbZ
— 高野しのぶ (@shinorev) 2015, 3月 30
【講評】ジャンルを問わず多彩な舞台芸術との出会いを(高野しのぶ)
昨年度よりも文章力が飛躍的に向上していて驚きました。劇評レクチャーに参加された方や、高校生劇評グランプリ公式サイトにある講義内容を読まれた方も多かったのかもしれません。打てば響き、ぐんぐん育つ高校生のポテンシャルを見せつけられた思いです。高校生応援特別割引チケットで観た公演の劇評も多数ありました。今後もこのようなチャンスを貪欲に掴んでいただきたいです。
日本には伝統芸能、現代演劇、ミュージカル、ダンス等の多彩な舞台を観られる恵まれた環境があります。また、テレビや映画館、インターネットで舞台中継を見られる機会も増えるでしょう。幅広く、さまざまな種類の舞台芸術に触れることで、劇評の焦点をより明確にできるだろうと思います。
舞台を観て感じたこと、考えたことを率直に、詳細に表現した作品に好感を持ちました。確かに存在して、消えていった舞台に自分の言葉で光を当て、劇評という形にすることで舞台芸術の世界に参加してください。若き日の劇評は自分の成長の記録にもなります。
檀上で国際演劇協会日本センター会長の永井多恵子さんから受賞者に表彰状が手渡された後、対談が行われました。
勘十郎:受賞作の題名である「沈黙の劇」とはまさに人形遣いと同じ。あらためて文楽とはそういう芸術だったと思った。人形遣いは人形に全てを込め、決して言葉は発しない。
勘十郎:文楽は1734年に三人遣いになった。この発明をした人は凄いと思う。文楽では何にでもなれるのが魅力。私は人形を持ったら怖いものなし。人間にできることで、人形にできないことはない。
表彰式終了後は春らしい陽気の中、国立能楽堂で記念撮影をしました。
【最優秀賞】
吉原爽斗「鳴かぬ蛍が身を焦がす―人形浄瑠璃」(日本芸術文化振興会『文楽鑑賞教室 絵本太功記・尼ケ崎の段』)
【ライブパフォーマンス・レビュー部門】 (※50音順)
赤澤みなみ「お台場に現れたマノクワリ歌舞伎座」(ベッド&メイキングス『野外劇「南の島に雪が降る」』)
伊賀彩夏「暴走ジュリエット」 現代に息づくシェイクスピアの作品」(ゴーチ・ブラザース『暴走ジュリエット』)
石本秀一「赤鬼―差別なき世へのあてなき航路を探して」(青山円劇カウンシル『赤鬼』)
靨紗貴「ランボーの幻影」(Bunkamura『皆既食~Total Eclipse~』)
黒田藍子「皆既食』天才と凡才」(Bunkamura『皆既食~Total Eclipse~』)
小林礼奈「観客に突きつける「人生の希望」(東宝『ロンドン版 ショーシャンクの空に』)
鶴巻碧衣「舞台上の魔法」(新国立劇場舞踊『シンデレラ』)
中澤千智「見つけ出す、舞台。」(トゥインクル・コーポレーション『ノケモノノケモノ』)
中村彩美「現代に必要な衝撃」(世田谷パブリックシアター『炎 アンサンディ』)
那須野綾音「劇と今を見つめる」(こまつ座『きらめく星座』)
矢﨑里沙「同じ高校生として」(フェスティバル/トーキョー14『もしイタ~もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら)
【映像作品・レビュー部門】
小林環蒔「スクリーンから舞台へ」(東宝東和配給「ビリー・エリオット ミュージカルライブ リトルダンサー」)
【団体賞】
大阪市立咲くやこの花高等学校
東京都立科学技術高等学校
能楽堂内のレストランで行われた懇親会では、選考委員のみならず受賞者も1人ずつマイクを持って話をしてくれました。「劇評を書いたことで作品をより深く知ることができた」「作品を観た後の時間を大切にしたいと思った」など、鑑賞者の鑑のような言葉の連続!胸が熱くなり何度も涙をこらえました。歌人の穂村弘さんの言うところの「共感=シンパシー」と「驚異=ワンダー」を引用し、「演劇は虚構によって生み出されるワンダーが常にあり、そこに興味がある」とおっしゃったのは吉原爽斗さん。さすがのご慧眼と思いました。
表現には「共感=シンパシー」と「驚異=ワンダー」があって、詩や音楽の本質はワンダーだと思うんだけど、今は圧倒的にシンパシーの時代ですよね。(穂村弘) http://t.co/NKVnddywRo
— CINRAの名言振り返りbot (@cinrabot) 2013, 10月 1
帰り際に「たとえ劇評家になっても、人生設計が難しいのではないか」という問いかけをしてきてくれた女子高生がいました。「今の日本で、劇評家という生業だけで生活ができている日本人はいないと推測する。大学教授や新聞記者であったり支えてくれる配偶者がいたり、二足以上の草鞋を履いているのが通常だろう」という私見を述べた上で、「若者は夢に向かって進んでください」とお伝えしました。これは劇評家に限らず言えることだと思うのですが、「食べていくために○○になる」のと「○○がしたいからする」のは別のことです。世界も、時代も変化しますから、今の常識が10年後も通じるとは全く思えません。私は自分の心に聞くことが大事だと思っています。
少々飛躍するかもしれませんが、竹中香子さんのブログより引用します。南仏モンペリエにあるコンセルヴァトワールの校長Gildas Milinさんの言葉です。
「とにかく夢をみろ。暇さえあれば、夢をみろ。」
また、東京大学教養学部長・石井洋二郎さんの「平成26年度 教養学部学位記伝達式 式辞」より引用します。
「あらゆることを疑い、あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること、この健全な批判精神こそが、文系・理系を問わず、「教養学部」という同じ一つの名前の学部を卒業する皆さんに共通して求められる「教養」というものの本質なのだと、私は思います。」
「皆さんも、自分自身の燃えさかる炎のなかで、まずは後先考えずに、灰になるまで自分を焼きつくしてください。そしてその後で、灰の中から新しい自分を発見してください。自分を焼きつくすことができない人間は、新しく生まれ変わることもできません。」
自分の思いを劇評という、誰かに伝えるための文章にする体験を通じて、舞台とより深い関係を持つ若者が増えて行って欲しいと思います。この賞が永く続くことを願っています。
【主催者側のツイート】
ITIの「高校生劇評グランプリ」、今年の受賞作が掲載されました。ぜひご覧ください!授賞式は来週の3月30日。グランプリが文楽を対象とした評でしたので、ゲストに桐竹勘十郎師が来てくださり、最優秀賞の学生と対談します!楽しみ♪
https://t.co/9HVDTPcGWy
— Ayano Tanaka (@sophy1115) 2015, 3月 26
第2回高校生劇評グランプリ表彰式。大阪から三代目桐竹勘十郎さんをお迎えして、今回最優秀賞受賞劇評対象作品の文楽についての対談。司会は田中綾乃さん。学校の鑑賞教室で初めて見た文楽についてのレビュー、「文楽とは沈黙の芝居」と評して。勘十郎さんはこのあとすぐ帰阪されるとのこと、多謝。
— 平林正男 (@m_hirarin) 2015, 3月 30
昨日は高校生劇評グランプリの授賞式でした。勘十郎さんにはこのためだけにわざわざ大阪からいらして頂き、グランプリの高校生と対談して頂きました。勘十郎さんも絶賛の文楽評で、高校生に本のプレゼントも!勘十郎さん、ありがとうございました。 pic.twitter.com/D6PYL77lXE
— Ayano Tanaka (@sophy1115) 2015, 3月 31
それにしても、昨日は高校生たちの演劇愛について、たくさんの言葉を聞けて、嬉しかったです。私自身も高校生たちからパワーと勇気を頂きました。高校生劇評グランプリの受賞者のみなさん、本当におめでとうございました!ぜひまた劇場でお会いしましょう。
— Ayano Tanaka (@sophy1115) 2015, 3月 31
今日の午後、「高校生劇評グランプリ」の表彰式に出席(主催:公益社団法人国際演劇協会日本センター)。優秀賞12名、最優勝賞1名が揃う。劇評を読ませてもらったが見事、自分の高校生の時のこと考えると敵わないと感じた(一応、新聞部で論説とか書いてはいたけど)。瑞々しい感性、の一言。
— 林 英樹 (@forest829) 2015, 3月 30
一昨日は高校生演劇サミットで瑞々しい演技に触れ、昨日は高校生劇評グランプリで彼らの言葉を直に聞くことが出来た。10代後半期というのは人にとって最も鋭敏な時期。その時期により広い世界に触れる、そういう媒介に演劇はなりうる。隅っこの方でささやかながらの応援を続けたい、と思った。
— 林 英樹 (@forest829) 2015, 3月 30
【最優秀賞受賞作、他についてのツイート】
高校生劇評グランプリ、うまくて感心するが1位が文楽初鑑賞のレビュー。「文楽とは沈黙の芝居ではないか」とは大人の文楽ファンには書けない言葉だろう。皆既食、ショーシャンク、新国シンデレラ、炎アンサンディ等、ご覧になった方読んでみて。 http://t.co/bb5hACWfOw
— Akiko (@garancear) 2015, 3月 26
凄いですね!《沈黙の芝居》ね。核心をついてますな!w @bun_chax2: 第二回グランプリ 受賞作 | 高校生劇評グランプリ http://t.co/w7a8y5G8P0 文楽鑑賞教室の絵本太功記を観た高校生の劇評。本質をしっかり捉えられてる。すごいなぁ。。高二だそうで。
— keyston39 (@keyston39) 2015, 3月 26
高校生劇評グランプリ・最優秀賞
鳴かぬ蛍が身を焦がす-人形浄瑠璃
http://t.co/VFhaHM1mxR
素晴らしい!人形遣いの「出遣い」を芝居の一部とし、「文楽とは沈黙の芝居」と表現した高校生の感性に感心した。それに比べて、文楽とストリップを同列に語る橋下徹は・・・。
— もうすぐ33歳@都構想反対は恥ではない (@ishincheck) 2015, 3月 26
噂の文楽劇評、?"人形遣いが体の延長として、大夫と三味線が心の延長として、人形の内面を表現する"という表現にしびれた。すばらしい劇評。
高校生劇評グランプリ『泣かぬ蛍が身を焦がす-人形浄瑠璃』 http://t.co/2tckm86AWR
— ぷ子 (@pucoX) 2015, 3月 26
高校生劇評グランプリ「鳴かぬ蛍が身を焦がすー人形浄瑠璃」http://t.co/6k8XqXVW0Q 「文楽とは沈黙の芝居」「沈黙する人形たちが身を焦がしている」初見だとどうしても人形重視になるのは自然なこととはいえ、卓見と感心しました。文体に力を感じます、素晴らしい!
— 芳芳 (@fonfon3) 2015, 3月 26
昨日は世選女子SPや刑事関連で激流TLでしたが、そのなかで個人的にいちばん衝撃を受けたのはこれでした。
「高校生劇評グランプリ」。最優秀賞は学校行事ではじめて文楽を鑑賞した高校2年生の劇評。
https://t.co/n3oxSm76BQ
— みのり (@SinfonieNr9_N) 2015, 3月 27
高校生劇評グランプリの文楽評を読んだら、久しぶりに素直に、文楽を観たいと言う気持ちになった。またいつか行ってみようかな
— いつか いつか (@erueru38) 2015, 4月 1
RT 高校生劇評グランプリには映像作品・レビュー部門もあるんですね。今年選ばれた人はビリー・エリオットの劇評で応募してる。http://t.co/LAGKEJ5YnO
— じゅり (@juli_hztn) 2015, 3月 26
【受賞者と、受賞対象公演の作り手のツイート】
今日は、高校生劇評グランプリの表彰式にいってきました!
他の受賞者の皆さんは、作品のクオリティーの高さに比例する素晴らしい方々!審査員の方とお話したり、友人もできたり、貴重な経験ができました!!文才が無いなりにこれからも自分なりの劇評を書いていこうと思えましたー^ ^
— Minami.A (@samarai_911) 2015, 3月 30
@bedandmakings @tomiqro 私事ながら「南の島に雪が降る」の劇評で、高校生劇評グランプリの優秀賞をいただきました!私の大好きなこの作品で賞をとらせて頂き本当に嬉しいです。これからもB&Mさんを応援しています!! pic.twitter.com/7bZEvjNgwQ
— MI☆NACS (@sama11venus) 2015, 3月 30
うわーおめでとう!そしてありがとう!読んでみたいなあ。RT @sama11venus: 私事ながら「南の島に雪が降る」の劇評で、高校生劇評グランプリの優秀賞をいただきました!私の大好きなこの作品で賞をとらせて頂き本当に嬉しいです。これからもB&Mさんを応援しています!!(略
— 富岡晃一郎 (@tomiqro) 2015, 3月 31
ベッド&メイキングス第3回公演 野外劇『南の島に雪が降る』の劇評を女子高生が書いてくれました。ほんとにもう心から感謝。/ 第二回グランプリ 受賞作 | 高校生劇評グランプリ - https://t.co/T4GR69cz9g
— 富岡晃一郎 (@tomiqro) 2015, 4月 1
【第2回高校生劇評グランプリ】の優秀作を今読みながら、あれこの子、あのとき私の隣に座った子かな、と。制服で野外劇にひとりで来てて、気持ちよく笑ってたあの子かも、と。
場があって人がいて、一人ひとりの時間が交錯して。舞台はいいなあ
— Kana-Bang (@Kanana_Bang) 2015, 4月 7
高校生劇評GP表彰式、お歴々と有名校の方々に囲まれて緊張した。今日1日で刺激を受ける言葉に多く出会えた。喋るにも文章を書くにも、伝えるための語彙力は大事…。今年は古典芸能の年にしよう。
— 中村あやみ (@moo_engk) 2015, 3月 30
この度高校生劇評グランプリにて、優秀賞をいただきました。受賞を知った時は本当に驚きました…大変身に余る光栄です。昨日の表彰式では関係者の皆様と色々なお話をさせていただき、貴重な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました?! pic.twitter.com/Uix6tiGWcN
— 中澤千智 (@thousand_321) 2015, 3月 31
高校生劇評グランプリの劇評がアップされた。観た作品も観てない作品の劇評も面白い。きちんと読ませる。友人のお嬢さんが入賞したので知ったイベント。にしても、賞品が凄い。羨ましい(笑)。https://t.co/qLEH1b8LcP
— AKIRA/アキラ (@akira_0630) 2015, 3月 30
芸能面、ほかには「札響(札幌交響楽団)4月の演奏会」と、読響の首席ティンパニー奏者に移籍する武藤厚志さんが登場。高校生劇評グランプリで見事全国優秀賞に選ばれた中沢さん(札幌開成)も。シアターPickUp は年度替わりのためか、やや少なめです。
— 北海道新聞文化部 (@doshin_bunka) 2015, 3月 31
【第2回高校生劇評グランプリ】の結果は先月3/2に出ていたのですね…!優秀賞を受賞された劇評の中で、私の演出作品は2つありました。
『赤鬼』
『暴走ジュリエット』
http://t.co/ld36EjQxG4
若い方々から丁寧かつ鋭い劇評をいただき、本当に嬉しい!です!
— 中屋敷法仁 (@nkyshk) 2015, 4月 6
【選考委員】
扇田昭彦(演劇評論家)
阿部順(全国高等学校演劇協議会事務局長)
高野しのぶ(現代演劇ウォッチャー、しのぶの演劇レビュー主宰)
田中綾乃(三重大学准教授、演劇評論家)
萩尾瞳(演劇・映画評論家)
森山直人(京都造形芸術大学教授、演劇評論家)
【主催】公益社団法人 国際演劇協会日本センター
【実施運営】
高校生劇評グランプリ(GP)実行委員会
-公益社団法人 国際演劇協会日本センター
-東京都高等学校演劇研究会
-NPO法人日本学校演劇教育会
-ワンダーランド(小劇場レビューマガジン)
【協賛】松竹株式会社、東宝株式会社、公益財団法人都民劇場、公益社団法人日本演劇興行協会
【協力】歌舞伎座、劇団四季、新国立劇場、新橋演舞場、帝国劇場、株式会社東急文化村、東京芸術劇場、PARCO劇場、フェスティバル/トーキョー実行委員会(50音順)
【後援】関東高等学校演劇協議会、公益社団法人日本演劇協会
【助成】アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
平成26年度東京芸術文化創造発信助成対象事業「高校生を中心とする若い世代の観客を育成するための劇場連携プログラム」
公式サイト運営協力:こりっち株式会社
https://www.hs-theatrereview-gp.jp/
https://www.hs-theatrereview-gp.jp/result02/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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