2015年04月11日
マームとジプシー『ヒダリメノヒダ』04/03-12神奈川芸術劇場・大スタジオ
藤田貴大さんが作・演出される人気集団マームとジプシーの新作をKAATで拝見。上演時間は約1時間40分。
『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------』でも感じたことなんですが、今作も残念ながら、私には感傷的過ぎて合わなかったです。『小指の思い出』のように、藤田さんがご自身以外の劇作家が書いた戯曲を演出されることがあれば、また観たいと思います。
⇒CoRich舞台芸術!『ヒダリメノヒダ』
レビューは記録程度です。
≪あらすじ≫
田舎町の中学生の日常。視力が低い左目だけで景色を眺めると、ぼやけた視界に小さな女の子が映る。
≪ここまで≫
対面式の客席。私は入り口から向かって奥の方に座りました。
音楽が好きだったり、詳しかったりする人には、より楽しめる作風なのかなと思いました。
ここからネタバレします。
俳優が10代前半の思春期の子供たちを演じていることに、少々疑問を感じました。たとえば女優さんが着ていたふんわりした可愛らしさのある衣装に、かまととぶっている印象を受けました。実年齢より若い役だから当然といえば当然かもしれませんが、底力のある俳優が幼い「振り」をするのは、個人的にはもったいない気がします。
出演:石井亮介、尾野島慎太朗、川崎ゆり子、中島広隆、波佐谷聡、吉田聡子
[ゲスト]Kan Sano(ピアニスト)←私が観た回 スズキタカユキ(ファッションデザイナー) ホンマタカシ(写真家) 山本達久(ドラマー)
脚本・演出:藤田貴大 衣装:スズキタカユキ(suzuki takayuki) 舞台監督:森山香緒梨 音響:角田里枝 映像:召田実子 照明:富山貴之 チラシデザイン:吉田聡子 制作:林香菜 助成:公益財団法人セゾン文化財団 提携:KAAT神奈川芸術劇場 主催:合同会社マームとジプシー
【休演日】4月6日(月)【発売日】2015/03/01 前売:3,500円 当日:4,000円 ※日時指定・全席自由・整理番号付き
http://mum-gypsy.com/events/hidari
http://mum-gypsy.com/news/2395
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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さいたまネクスト・シアター『リチャード二世』04/05-19彩の国さいたま芸術劇場インサイド・シアター(大ホール内)
蜷川幸雄さんが演出されるさいたまネクスト・シアターの第6回目の本公演です。高齢者演劇集団さいたまゴールド・シアターとの共演で、彩の国シェイクスピア・シリーズの第30弾です。三方囲みの客席で、私は上手側に座りました。全席自由ですので劇場へはお早目にどうぞ。上演時間は約3時間15分(一幕 1時間30分/休憩15分/二幕 1時間30分)。
ゴールド・シアターの方々が舞台に出ていると、私は現実(平成27年の今)を常に意識している状態になります。つまり我を忘れて物語に没頭するという風にはならないのです。『リチャード二世』で描かれる事柄や演出について、何かの比喩や象徴ではないかと、ずっと考えながら鑑賞し続けました。劇場からの帰り道に「もしかしたらメタシアターなのかしら」と思いつき、怖くなりました。完全に的外れかもしれませんが。
⇒読売新聞「公共劇場が舞台俳優育成…話題作に修了生、「見て盗む」推奨」
⇒CoRich舞台芸術!『リチャード二世』
レビューは記録程度です。
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
彩の国さいたま芸術劇場芸術監督 蜷川幸雄率いる若手演劇集団さいたまネクスト・シアター。新作のたびに高い評価を受けている彼らが、『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』以来となるシェイクスピア作品『リチャード二世』に挑みます。
本作は、彩の国シェイクスピア・シリーズ(SSS)第27弾『ヘンリー四世』、SSS未上演の『ヘンリー五世』へと続く4部作の第1作となり、ヘンリー・ボリングブルック(後のヘンリー四世)によって退位に導かれるイングランド王リチャード二世の憐れな結末を情感豊かに描いた作品です。
進境著しいさいたまネクスト・シアター、そして緊急出演が決定したさいたまゴールド・シアターによる渾身のシェイクスピア作品にどうぞご期待ください。
≪ここまで≫
『真田風雲録』『美しきものの伝説』『ハムレット』『オイディプス王』『カリギュラ』と拝見してきて、「今回はあのコがクローズ・アップされてるなぁ」などとミーハーな視点でも観ていました。老け役の手打隆盛さん、松田慎也さんが良かったです。ゴールド・シアターでは松田さん演じるエドマンド・ラングレーの妻、ヨーク公爵夫人役の百元夏繪さんが素晴らしかったです。
ここからネタバレします。
車イスがたくさん出てきていたので、ずっと蜷川さんが舞台にいらっしゃるようでした。鈴木忠志さんの作品(⇒1、2)も思い浮かびました。皆さん、アルゼンチン・タンゴをお稽古されたんですね。
この作品は有史以降の人類の愚かな繰り返しを表していると仮定して、もしこの劇団、劇場のことも表しているのだとしたら、凄いことだなぁ…と思いました。
最後の方にえらく色っぽくて目立つ男性が出てきたと思ったら小久保寿人さんでした。リチャード二世を暗殺して遺体をボリングブルック(竪山隼太)に献上するエクストン役でした。
彩の国シェイクスピア・シリーズ第30弾 YUKIO NINAGAWA 80TH ANNIVERSARY
出演(2015年4月10日 *=さいたまゴールド・シアター):
リチャード二世…内田健司
イザベル…佐藤蛍(計3名でステージごとに交替とのこと)
ジョン・オヴ・ゴーント…葛西弘*
ヘンリー・ボリングブルック…竪山隼太
エドマンド・ラングレー…松田慎也*
ヨーク公爵夫人(ラングレーの妻)…百元夏繪*
オーマール公爵(ラングレーの息子)…竹田和哲
グロスター公爵夫人…神尾冨美子*
トマス・モーブレー(ボリングブルックと最初に決闘)…堀源起
ジョン・ブッシー…松崎浩太郎
ウィリアム・バゴット…鈴木真之介
ヘンリー・グリーン…浦野真介
ノーサンバランド伯爵…手打隆盛
ヘンリー・パーシー…白川大
ロス卿…小川喬也*
ウィロビー卿…髙田誠治郎*
バークレー卿…中野富吉*
ソールズベリー伯爵…竹居正武*
カーライルの司教…宇畑稔*
式部官…鈴木彰紀
伝令官1…中西晶
伝令官2…銀ゲンタ
ヨーク公爵の従者…北澤雅章*
ウェールズ軍の隊長…たくしまけい*
スティーヴン・スクループ…高橋英希
イザベルの侍女…ちの弘子* 都村敏子* 寺村耀子* 德納敬子* 中村絹江* 林田惠子* 益田ひろ子* 宮田道代* 渡邉杏奴*
庭師…遠山陽一* 小川喬也*
庭師の徒弟…葛西弘* 中野富吉* 森下竜一*
フィッツウォーター卿…鈴木彰紀
サレー公爵…平山遼
ウェストミンスター修道院長…髙橋清*
ピアス・エクストン…小久保寿人
エクストンの従者1…鈴木真之介
エクストンの従者2…髙橋英希
リチャード二世の厩舎番…森下竜一*
ポンフレット城監獄の看守…松崎浩太郎
貴族ほか…浅場万矢、周本絵梨香、茂手木桜子、長内映里香、浅野望、市野将理、坂辺一海、砂原健佑、續木淳平、堀杏子、阿部輝、井上夕貴、呉美和、郷園高宏、田中りな、安川まり、吉村照道 石井菖子*、石川佳代*、小渕光世*、上村正子*、佐藤禮子*、重本惠津子*、田内一子*、滝澤多江*、谷川美枝*、田村律子*
脚本:W.シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:蜷川幸雄 演出補:井上尊晶 美術:中越司 照明:岩品武顕 衣装:紅林美帆 ヘアメイク:野澤幸雄 擬闘;栗原直樹 振付:佐野あい 演出助手:大河内直子 藤田俊太郎 松下城支 長谷川ちえ 野村久美子 大畑豪次郎 八木香 制作統括:渡辺弘 技術統括:山海隆弘 営業宣伝:鶴貝典久 小林辰郎 林さやか 票券:松井哲 本郷充子 制作助手:飯塚ななコ 制作:松野創 石井おり絵 高木達也 原口さわこ 主催・制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団 制作協力:ホリプロ 企画:彩の国さいたま芸術劇場シェイクスピア企画委員会
【休演日】4/7,13【発売日】2015/01/31
【全席自由】一般 4,000円 メンバーズ 3,600円
http://saf.or.jp/arthall/stages/detail/2040
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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新国立劇場演劇『ウィンズロウ・ボーイ』04/09-26新国立劇場小劇場
新国立劇場演劇研修所の修了生を多数キャスティングする、新国立劇場の企画の第3弾です(⇒第1弾、第2弾)。『ウィンズロウ・ボーイ』は英国劇作家テレンス・ラティガンの1946年初演戯曲。翻訳は小川絵梨子さん、演出は鈴木裕美さんです。⇒演出の鈴木さんの4/5のツイート
初日を拝見しました(⇒舞台写真)。素晴らしい戯曲を丁寧に、真っすぐに上演してくださり、「いいお芝居観た~!」という充実感ですごく幸せになりました。今月のメルマガのお薦めNo.1とご紹介して間違いはなかったです♪
大がかりな場面転換がないしっかりした会話劇ですが、微笑ましい場面が多く、堅苦しくなりすぎません。ウィンズロウ家の人々とともに勝敗の行方にハラハラしつつ、法とは、正義とは、人権とは…と当事者として思索し続けました。ご家族、恋人、友達とぜひ!劇場公式facebookページの関連記事⇒1、2、3、4、5、6、7
※4/18(土)18:00からマンスリー・プロジェクトの演劇講座「テレンス・ラティガンの世界」があり(無料・要予約)、朗読もあります。
⇒読売新聞「公共劇場が舞台俳優育成…話題作に修了生、「見て盗む」推奨」
⇒片山幹生『ウィンズロウ・ボーイ』@新国立劇場(ネタバレあり)
⇒CoRich舞台芸術!『ウィンズロウ・ボーイ』
レビューはほぼ記録のみ。
≪あらすじ≫ 公式サイトより
第一次大戦前夜のロンドン。
ウィンズロウ家は、銀行を退職した父アーサー、母グレイス、婦人参政権論者の長女キャサリン、オックスフォード大学生の長 男ディッキー、海軍兵学校で寄宿生活を送る次男ロニーの5人家族。
今日はキャサリンの結婚が決まる日。そこへロニーが一通の手紙を持って突然帰ってくる。
校内で5シリングの窃盗を働いたため退学に処す、という内容だった。
「僕はやってない!やってないんだ!!」
無実を訴えるロニーの言葉に、父アーサーは息子の名誉を守るため、ある決心をする。
それはウィンズロウ家の人々だけでなく、世論をも巻き込む大きな論争へと発展していく。
≪こここまで≫
とにかく戯曲が面白くて、残念ながら今の日本と重なることが余りに多いです。「ラティガン祭り」で約十年前に観た時よりも自分自身に引き寄せて鑑賞することになりました。
ここからネタバレします。
1912年から2年間のお話です。1914年に第一次世界大戦がはじまります。
"The Winslow Boy" by Sir Terence Mervyn Rattigan CBE
≪出演≫アーサー(父・元銀行員):小林隆、サー・ロバート・モートン(弁護士):中村まこと、グレイス(母):竹下景子、キャサリン(長女・婦人参政論者):森川由樹、ディッキー(長男・落ちこぼれのオックスフォード大学生)山本悠生、ヴァイオレット(使用人):渡辺樹里、デズモンド・カリー(キャサリンに横恋慕する弁護士):チョウヨンホ、フレッド(カメラマン)原一登、ジョン・ウェザーストーン(キャサリンの婚約者の軍人):川口高志、ミス・バーンズ(新聞記者):デシルバ安奈、ロニー(次男・海軍士官学校の生徒):近藤礼貴※Wキャスト(私が観た回は近藤さんでした)、渋谷龍生※Wキャスト
脚本:テレンス・ラティガン 翻訳:小川絵梨子 演出:鈴木裕美 美術:松岡泉 照明:笠原俊幸 音響:長野朋美 衣裳:前田文子 演出助手:山田美紀 舞台監督:村田明
【休演日】4/14,21【発売日】2015/02/15 A席5,400円 B席3,240円 Z席1,620円
当日学生割引あり(50%割引/Z席を除く)
当日券購入方法:http://www.nntt.jac.go.jp/ticket/index.html#seatZ
アカデミックプラン:http://www.nntt.jac.go.jp/ticket/academic/
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/150401_003732.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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