2004年02月21日

ホリプロ『ユーリン・タウン』02/5-29日生劇場

 2002年トニー賞三部門受賞作。
 宮本亜門さんの演出は、私にとって得意(『ボーイズ・タイム』『ガールズ・タイム』『ファンタスティックス』)・不得意(『キャンディード』)が激しいのですが、キャストに興味があったのでチケットを取りました。なのに安売りとかするし・・・ちょっと勇み足だったかな。
 ネタバレします。

 最初の45分がものすごく盛り上がらなくって、このままだと確実に途中休憩の時間に劇場を出ることになると恐れたのですが(実際出て行った人は大勢いました)、別所哲也さんと鈴木蘭々さんのデュエットが美しかったし、舞台美術(松井るみ)が予想外にうまく機能していたので、残ることにしました。

 深刻な水不足でトイレに自由にいけなくなった近未来のアメリカのどこか。勝手におしっこ(ユーリン)をしたりトイレ使用料金を払わなかったら警察につかまってユーリン・タウンに連行されてしまう・・・。

 まさかミュージカルで環境問題についてお説教されるとは思いませんでした。アメリカ人って許容範囲が広いというか、政治が好きですよね。“異色のミュージカル”とチラシにありますが、観終わって心底納得です。

 南原清隆さんが「これはミュージカルだから何でもアリです。突然歌ったりもします」などと客席に向かって何度となく説明するのですが、劇場に生まれてから一度も足を踏み入れたことのない人向けの演出だったのでしょうか。それにしてもクドかった。脚本自体が既にそうだったのかもしれないけれど、ミュージカルだとわかって観に来ている人にとってはミュージカルへの侮辱とも取れました。

 また、この作品の独特なところは、どんどんと今後の展開をネタバレしていくことです。「これから踊りと歌のシーンになるんだけど」「実はユーリンタウンに連行された奴は殺されてるなんて、ここで言うと面白くないでしょ?」とか。そういう仕掛けって効果としてすごく面白いと思うんですが、成立させるのは難しいですよね。少なくとも私が観た回では非効果的でした。

 ヒーロー(別所哲也)がビルから突き落とされて死ぬシーンは照明も美術も面白い演出でした。ああいうアイデアとかって心に残りますね。別所哲也さんの演技力(魅力)によるところも大きいと思いますが。本当に別所さんは素敵でした。彼が見られただけでも良しとします。
 マルシアさんの歌声はやっぱりパワフルで聴きごたえがあります。迫力あるし堂々としてるし、舞台の彼女が好きです。

演出:宮本亜門 音楽・詞:マーク・ホルマン 
出演:南原清隆/別所哲也/マルシア/鈴木蘭々/入絵加奈子・杉崎政宏・安崎 求/高谷あゆみ・荒井洸子・大森博史/小宮健吾・加藤 満・川井康弘・水野栄治・原慎一郎・飯野 愛/高泉淳子/藤木 孝
脚本・詞:グレッグ・コティス 翻 訳:常田景子 訳 詞:橋本邦彦 音楽監督:甲斐正人 振付:カズミ・ボウイ 美術:松井るみ 照明:高見和義 衣装:前田文子 ヘアメイク:林裕子 音響:大坪正仁 声楽指導:矢部玲司 演出助手:北村直子 舞台監督:二瓶剛雄

ユーリン・タウン : http://www.horipro.co.jp/UTmusical/
ホリプロ・オンライン・チケット : http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi

Posted by shinobu at 2004年02月21日 15:29