2004年03月22日

ク・ナウカ『ウチハソバヤジャナイ』03/18-23東京芸術劇場小ホール1

 ギリシャ悲劇などの古典を独特の表現方法で上演してきたク・ナウカが、ナイロン100℃のケラリーノ・サンドロヴィッチさん作のナンセンスコメディーを上演。しかも前半と後半が違う演出家なんて、一体どういう目論見なのでしょうか?企画としてめちゃくちゃ注目度大です。

 ちょうど時期が重なっていたので私はブルースカイさん演出の『ウチソバ』を拝見した後の観劇になりました。これもまた面白さ上乗せですよね。

 まず宮城さんの演出で幕開け。ク・ナウカの今までの作品の衣装や小道具、大道具が舞台の周りに並べられています。民族衣装を着てパーカッションを鳴らして、いつものク・ナウカらしいオープニングだったのですが、ク・ナウカの役者さんが「クラフトっていいよね?」「君、踊りうまいね」「お前バカか」というケラさんならではの吐き捨てるような乾いたセリフをしゃべります。しかも舞いながら。笑いがこらえられませんでした。

 宮城さんご自身の写真が出て来て「はい、私がボヨヨンちゃんです。」と宮城さんの声がしゃべったのには爆笑。その後に出演者やスタッフ紹介の文字映像がディスプレイに映ったかと思いきや最後に「完」とか出てきちゃうし。まだ40分も経ってないよ!!あぁ~・・・ナンセンス。さすがです宮城さん。

 宮城さんバージョンがいつ終わったのかよくわからなかったのですが、アニメ「うる星やつら」の主題歌“ラムのラブソング”が大音量で流れる中、役者さんが着ている服をどんどん脱いで露出度の高い白い衣装になっていきます。ほぼ下着ですね。あ、ここから外輪さんバージョンなんだなぁとはっきりわかりました。なにせ相当毛並みが違います。ド派手です(笑)。

 外輪さんバージョンは・・・女優さんのおなかや胸元ばっかり気になっちゃいました。だって美しいんだもの!!
 音響で笑い声がかかるのは好きじゃないです。アメリカのTVドラマで鳴る声と質や意味は違うのですが、やっぱりしらけちゃうんですよね。観客が笑えなくなります。
 外国人男性(おそらくフランス人)の方の演技は気になりました。たどたどしい日本語だから可笑しい、ということだけでは私は面白みを感じられなかったです。

 2本とも見終わって、自分でもよくわからない後味が残りました。ケラさんの脚本をク・ナウカの役者さんで宮城さんが演出するというのならまだしも、前半と後半で違う演出家による演出というのはすごく複雑です。やっぱり2本を比べることになってしまいますね。
 どちらが良かったかを無理やり選ぶとすれば、外輪バージョンでは裸ばっか気になっちゃったので、私は宮城バージョンに軍配!ク・ナウカのファンも、ク・ナウカを知らない人でも楽しめたと思います。

 阿部一徳さん。良い声だからこそ笑えるネタがいっぱい。動いても面白い。
 日比大介さん(THE SHAMPOO HAT) 。日比さんが出てらっしゃるおかげで角ばるばかりでなくソフトな印象になって良かったと思います。

作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 前半演出:宮城聰 後半演出:外輪能隆(エレベーター企画)
出演:阿部一徳 吉植荘一郎 野原有未 稲川光 片岡佐知子 加藤幸夫 桜内結う 牧野隆二 奥島敦子 佐々木リクウ 高橋昭安 たきいみき 山本智美 杉山夏美 日比大介(THE SHAMPOO HAT)
照明:大迫浩二 音響:AZTEC(水村良、千田友美恵) 美術:深沢襟 衣裳:忠内もも(モマ・ワークショップ) 衣裳製作:鈴木美和子 かつら製作:能町愛子 小道具:後藤敦子 舞台監督助手:弘光哲也 舞台監督:野口毅 宣伝美術:三田秀共 制作:大和田尚子、久我晴子
ク・ナウカ : http://www.kunauka.or.jp/

Posted by shinobu at 2004年03月22日 23:00