2004年03月23日

とくお組『トリップ☆オーバー』3/19-21新宿THEATER BRATS

 江口寿史さんのイラストっぽいアニメ調のチラシにちょっぴり惹かれていたのですが、制作さんからとても丁寧なご招待をいただいたので伺いました。旗揚げ公演です。

 作・演出の徳尾浩司さんは主に慶応劇研でご活躍されていた方で、サラリーマンになってから始めての公演とのこと。制作さんからのメールでは『作風を一言で言うと、「非現実世界」で巻き起こる「現実的な」青春群像劇』だそうです。

 舞台は貨物宇宙船の機関室。なぜか動力が備長炭。その炭を炉に入れ続ける機関士さんたちや招かれざる乗客のドタバタコメディー。

 シチュエーション・コメディーは最初の説得力が全てだと思います。物語に入れなかった時点で何もかも信じられないまま最後まで・・・というのがよくあるパターンです。設定は面白いと思うし装置も工夫があったと思いますが、残念ながら私は全く入れずじまいでした。

 客席は笑い声に包まれていましたが、私が笑ったのは一度だけ。うさぎのぬいぐるみ男が「ぬいぐるみを着ていたことに20年間気づかなかった!」というシーン。絶対にありえないことを笑いに持っていくには、役者さんの演技と用意周到な演出が必要だと思います。ここではそのうさぎ男(作・演出の徳尾さん)の演技が良かったから成立したのではないでしょうか。

 オープニングの役者紹介映像は長すぎます。まず画質が悪くて何も見えないし。宇宙戦艦ヤマトの映像を使ったエピソード説明の映像も長いですよね。一瞬で終わっていたなら楽しめたかもしれません。

 宇宙警察の登場に小窓を使ったり、その警察官がパネル絵だったりするのは楽しいアイデアですよね。シアターブラッツの奥行きを上手に使った廊下は良かったと思います。でもうさぎのぬいぐるみが大きすぎてその廊下を通れない、というギャグは、本当に入れないほどぬいぐるみを大きくしておかないとダメですよね。

 ラストは・・・苦しかったんだろうな~と思ってしましました。一つにまとめることを考えずに自由に気楽に作られるといいのではないでしょうか。シチュエーション・コメディーの壁は厚いし高いと思います。 

〔出演〕石切山哲也 樫岡佐弥香 高良真秀 斉藤広之 崔太均 島優子 山室智美 徳尾浩司
〔脚本演出〕徳尾浩司  〔舞台監督〕三浦佑介 〔舞台美術〕金子隆一 恩地文夫 飯塚美江
〔照明〕小峯裕之 〔制作〕日野慎也 菊池廣平 久保明世 〔宣伝美術〕齊藤直紀 〔映像〕岡野勇
とくお組 : http://www.tokuo-gumi.com/

Posted by shinobu at 2004年03月23日 01:09