2004年03月24日

サードステージ『ハルシオン・デイズ~もうひとつのトランス~』03/19-4/11紀伊國屋ホール

 自殺サイトで知り合った3人とおまけ(?)1人の4人芝居。セリフに次ぐセリフでお話が展開していきます。
 『トランス』は演出:木野花、出演:ともさかりえ・河原雅彦・山崎銀之丞バージョンを拝見しましたが、似ていたのは登場人物の設定ぐらいで狙いも質も全く違う作品だったように思います。

 美術(松井るみ)に一番感動しました。紀伊国屋ホールの木の壁と続くように作られた抽象的な装置でした。パルコ劇場での『Bad News☆Good Timing』もそうでしたよね。大きな木のアーチが3つつらなり、高さと奥行きを感じさせながら温かみもありました。映像や照明との相性も最高でした。

 オープニングがかっこ良かった~っ!!音楽と映像、照明、美術に役者さんのライブ感がきれいに解け込んで、ゾクっとしました。エンディングも同じ曲でしたよね。ご存知の方いらしたらぜひ教えてください♪

 「泣いた赤おに」の劇中劇はどうかと思ったんですが、最後は涙しちゃいました。何もかも自分のせいだと思い込んでしまう青年(北村有起哉)、ゲイだということを隠して妻も子供もいる生活をしてきた中年(大高洋夫)、自分が患者(高橋一生)を自殺に追い込んでしまったと思い込むカウンセラー(辺見えみり)。登場人物はみんな優しくて弱い人ばかりです。鴻上尚史さんもそういう方なんだろうなーと思いました。

 でも、会話劇とはいえ言葉でばかり説明してしまってちょっと物足りないというか、耳ばかり使わなきゃだめだったから疲れました。登場人物が4人だけだし展開も地味だし、なかなか集中力が続かないと思うんですよね。視覚や聴覚に訴えかける演出がもっとあれば、より楽しめたかもしれません。でも、出演者の皆さんの一生懸命さが伝わってきたので私は最後まできちんと観ていられました。皆さん真面目で正直で優しくて、良い人ばかりな気がします。

 独特だなーと感じたことは、舞台奥にセリフが1フレーズずつ文字映像で映し出されるのですが、そのセリフが発せられる前のものだということ。第一幕、第二幕という風に区切りをつけるよりも、その幕で最も観客に汲み取ってもらいたい(笑ってもらいたい)セリフを文字にした、というところでしょうか。私はあまり面白みは感じませんでした。内輪ウケっぽい笑いが生まれてしまっていた気がしたので。ずーっと時系列に進むお芝居で展開があまり激しくないものには、そういう工夫が必要なのかもしれませんね。映像はみんな素敵でしたが、屋上のシーンで映される空がきれいでした。

 辺見えみりさんの体の動きがちょっと見づらかったですね。手がずーっと下にぶらさがったままだったり、不自然な静止状態が長かったです。でも声が独特だしきれいな方ですよね。可愛らしいスカートが素足によくお似合いでした。あのスカート欲しいな~。

作・演出:鴻上尚史
出演:辺見えみり 北村有起哉 高橋一生 / 大高洋夫
美術:松井るみ 照明:坂本明博 音楽:渡邉裕之 音響:堀江潤 衣裳:古池慶次郎 ヘアメイク:西川直子 舞台監督:上野博司 演出部:早津信久 森谷亜紀子 清水将司 演出助手:黒川竹春 松倉良子 照明操作:伊賀康 角田和子 清家玲子 小道具デザイン:小松信雄 特効:鈴木俊光 音楽制作協力:平河欣樹 衣裳協力:横山千花子 制作助手:渡部千恵 大道具:金井大道具 小道具:高津映画装飾 映像製作:イーグル 写真撮影:萩庭桂太 宣伝美術:プラグイングラフィック 制作:中島隆裕 高田雅士 
サードステージ : http://www.thirdstage.com/

Posted by shinobu at 2004年03月24日 21:02