2004年04月07日

ポかリン記憶舎『小作品集2 夢の終わり』4/5-7麻布ディプラッツ

 ポかリン記憶舎は明神慈さんが作・演出をする劇団です。着物美人が受付をしてくれるのも嬉しい。
 神楽坂・麻布ディプラッツ主催の“ディプラッツ メンタリ― ショッキングアーツ コレクション2004”という演劇フェスティバルの中の1公演です。

 残念ながら劇場がポかリン記憶舎の作風に合っていないように思いました。まず騒音。エレベーターが上下する音、上の階の足音、車のエンジン音、救急車のサイレンまで聞こえてしまい、究極の静けさの中にはんなり、ほんのりと産み出される着物女たちの官能世界が崩されてしまいました。

 また、舞台空間全体が暗すぎました。和紙と針金で作られたのであろう丸い蓮の花のような光のオブジェはそれ自体とてもきれいでしたが、真っ黒な壁が高くそびえる麻布ディプラッツをほぼそのまま使っている空間で、そのライトが床の近くに4つだけ(時々5つ)というのは役者さんの顔も姿も見えづらく、なんだか窮屈な印象でした。

 女3人の朗読があったのですが、あんまり臨場感がなかったです。横浜STスポット『ラ・ロンド』での朗読はすごく良かったので残念。

 後半は長細い幕に映像が映し出される中、数人で歩き回るパフォーマンスだったのですが、その映像のぼかし具合が絶妙でした。CG映像はあまりにぎらぎらしていると見苦しいことがあるのですが、この作品では気持ちよかったです。

 体が触れ合いそうで触れない距離を保ちながらゆらりゆらりと動く役者さんたちの夢見心地な表情は色っぽく、いつもの官能世界を味わえた瞬間もありました。上演時間50分というのも嬉しいですね。

 明神さんの脚本の大ファンなので、作品全体のうちのほぼ半分がセリフのないパフォーマンスだったのは、私にとっては期待はずれでした。また次回を楽しみに待っていようと思います。

作・演出 明神慈
出演:田上智那 中島美紀 日下部そう 下園琢磨 役者松尾マリオ(ロリータ男爵) 大和田有(時々自動) 和田江理子(青年団) 松浦和香子(ベターポーヅ)他
音楽 木並和彦 / 照明 木藤歩(balance, inc.) /映像 袴田祐介 / 光のオブジェ 吉岡紳行 / Gデザイン 松本賭至 / 受付 サクラ 中島理恵
ポかリン記憶舎:http://www.interq.or.jp/tokyo/pocarine/

Posted by shinobu at 2004年04月07日 15:32