非常に評判の高い青年団の『忠臣蔵』シリーズ、初見です。(『ヤルタ会談』は以前に観てとっても面白かったですが、今回は行きませんでした)
上演時間が短いとは言えチケット代が非常にお手ごろです。『忠臣蔵・OL編』は前売り1,500円でした。すごい。
ある会社のお昼休み。思い思いの昼食を取っているOL達のところに「殿が吉良を切りつけて、切腹させられた。お家は断絶、領地は没収。そして吉良はお咎め無し。」というニュースが入ってくる。これから一体どうするべきかを家老以下数名で話し合い、「討ち入りをする」という結論にいたるまでを描く。
舞台美術と登場人物の衣裳や話し方、立ち居振る舞いは現代のOLなのですが、ストーリーは『忠臣蔵』そのままでした。話題に上るのは“殿(との)”、“吉良”、“幕府”ですし、登場人物の呼び名も“ご家老”等です。私は『忠臣蔵』をモチーフに現代のビジネスシーンでの派閥争いや義理人情、友情などを描く、新しいストーリーものなのかなと勝手に想像していたので、すごく意外でした。
う~ん・・・評判を聞いて観に行ったので、残念ながら私には肩透かしでした。噂も何も聞かずに観ていたらもっと素直な感想だったかもしれないんですが。でもあまり楽しめなかったというのには変わりないかも。
これは観た回にもよるのでしょうけれど、役者さんの演技がわざとらしかった。変わった台詞回しや動きをするタイミングがバレてしまっていて、手法としてしか伝わりませんでした。
そして、これは青年団の作品の特徴でもあると思うのですが、皮肉っぽい、さめた視線が作品全体をまんべんなく包んでいます。時には人を小バカにしたような目線やセリフのニュアンスが、コミュニケーションの前提になります。私はどうしてもこの空気が苦手なんです。
高橋縁さん。討ち入りを主張するぽっちゃりしたOL役。ストレートな存在にホっとしました。安心して心を開いて笑えました。
アトリエ春風舎には初めて伺ったのですが、駅前や劇場前に案内の人が立っていたし、曲がるところにはちゃんと看板を置いてくださっていたので、全く迷わずに劇場にたどり着けました。そういう行き届いた親切に感謝したいです。
作・演出:平田オリザ
忠臣蔵【出演】安部聡子 兵藤公美 高橋縁 安田まり子 鈴木智香子 田原礼子 井上三奈子
ヤルタ【出演】松田弘子 高橋縁 島田曜蔵
舞台美術:杉山至×突貫屋 照明:岩城保 宣美:太田裕子 制作:松尾洋一郎 澤藤歩 田嶋結菜 総合プロデューサー:平田オリザ
青年団:http://www.seinendan.org/