超豪華キャスト&スタッフの今年の話題作です。チラシのMAYAMAXXさんの絵が素敵ですよね。
あんな大スターがあんなに体張ってがんばってる、というのを目の前で見られるのが大変面白かったです。怪我人続出との噂アリ。
青山劇場のロビーに大きな花がめいっぱい詰め込まれて、何だかわからない花空間(部屋の隅に身長大の花がすし詰め)も出来ていました。
幕末の世。舞台は人斬りが横行する江戸。居酒屋“いろは”で働く女スリお新(松たか子)はどうしようもない飲んだ暮れ&女好きの浪人 荒牧源内(唐沢寿明)と恋仲。お新に恋心を抱く真面目な浪人 母衣権兵衛(伊原剛志)と喧嘩っぱやい赤牛弥五右衛門(中村獅童)は“いろは”の常連。ある日、店の主人(田山涼成)が悪徳武士ら(升毅&鈴木一真)に殺され、お新は敵討ちをするために単身で敵地に乗り込むが捕まってしまう。「お新は俺の金づるだ」と言ってはばからない源内は果たして命を懸けてお新を助けに行くのか?
美形の大スターばかり出演されているので衣装も当然似合うし、観てるだけで豪華だし、かっこいい決めゼリフも役ごとに必ず割り当てられているのですが、残念ながら俳優さんそれぞれの良さを生かすことができていないと感じる瞬間が多かったですね。企画・制作:TBSということで、演劇関係のプロデュースじゃないからこういうミスマッチが起こってしまったのではないか、と勝手ながら私は思います。
まず、音楽が合っていないのが作品の統一感の無さの致命的なポイントだったと思います。坂本龍一さんのメランコリックで荘厳な音楽は、もっとゴシックなイメージのお芝居にぴったり来ると思うんですよね。この作品はPOP風チャンバラ活劇ですから、どうしても合わないというか、素敵な映画音楽などがかかってもシミジミなんて来ないし、それどころか笑いを誘うのです。もったいない。ほんとにもったいない。もったいないオバケが出ますよ絶対。
終盤の見せ場の殺陣シーンはなんと舞台面が水びたし。斬って倒れてなぐって転んで、血しぶきも水しぶきも飛びまくり。これでもか!これでもか!と続き、もう終わるかなと思ってもまた盛り上がるような怒涛のサービスでした。すごすぎて笑うしかなかったほど。でも殺陣が決してうまくいってないんですよね・・・。それもこれもきっと水のせいなのではないでしょうか。メインキャストの方々は特に怪我をしないように体をかばいながら舞台に立ってらっしゃるのではないかと思うのです。これから1ヶ月以上ある公演、どうか皆様ご無事でおられますようお祈り申し上げます。
唐沢寿明さんと松たか子さんカップルはものすごくさっぱりしていたというか、二人の間には恋や愛が感じられませんでした。別にそれでも気にならなかったのが観客として寂しいところです。必要だと感じなかったんですよね。お祭り騒ぎでもう満杯ですから。
中村獅童さんは最近キワモノっぽい演技をされることが多いですが、今回もそうでした。バカ受けでしたね。私は歌舞伎に出られている時の獅童さんの方が好みです。
舞台役者さんとして演技がとても素敵だと思ったのは伊原剛志さんと升毅さんと花王おさむさん。
伊原剛志さんは劇団☆新感線『阿修羅城の瞳』でも堪能させていただきましたが、本当に殺陣が上手くて体が大きいから迫力があります。コミカルな演技も観客サービスも素敵。
升毅さん。悪徳武士(父)。う~ん、やっぱり悪者役がぴったり(笑)。ヤな奴でカッコ良かったです。斬られる直前で色々遊んでらっしゃって生き生きしてましたね。そこが舞台役者さんならではのゴージャスさだと思います。
花王おさむさん。最初に松たか子さんに財布をスられる老人役。渋いストレート・プレイによく出てらっしゃるのに、こういうエンターテイメント作品のおとぼけキャラへの転身も鮮やか。
カーテンコールでは唐沢寿明さん仕切りでおふざけがいっぱいありました。そういう公演なんですよね。大スターを生で観て、楽しかったらOK!ってことで。私は楽しかった!ありがとうございました!
蛇足ですが、パンフレットのアーティスト写真にピンボケが多くて驚きました。なぜなんだろう。松たか子さんだけはきっちりした美しい写真でした。さすが大女優さん。
脚本:マキノノゾミ 演出:山田和也 主題曲:坂本龍一 衣装デザイン:ワダエミ
出演:唐沢寿明/松たか子/中村獅童/田中美里/成宮寛貴/田山涼成/升毅/花王おさむ/木下政治/奥田達士/荻野恵理/鈴木一真/伊原剛志 アンサンブル:石田晃一 牛田裕也 UME 江部珠代 大野哲生 勝平ともこ 加藤照男 金井良子 川守田政宣 木下智恵 黒川恭佑 駒崎香織 五味良介 篠原正志 白井雅士 進藤浩志 鈴木真 染谷有紀 高橋光宏 匠耕作 田地正憲 津村雅之 藤榮史哉 徳永繁春 富永研司 中村獅一 中村蝶紫 名取弘二 林力 平塚真介 堀本能礼 前川貴紀 松上順也 水谷悟 安田美香 山村賢 勇太 吉田晃太郎
美術:堀尾幸男 照明:小川幾雄 音響:山本浩一 音楽:沢田 完 殺陣:渥美 博 技術監督:眞野 純 舞台監督:大垣敏朗 演出助手:佐藤万理 宣伝美術:祖父江慎 ドローイング:MAYAMAXX 宣伝写真:高橋淳一 アシスタントプロデューサー:町田直子(TBS) プロデューサー:河出洋一(TBS) 制作協力:シーソー 協力:ぴあ 主催・製作:TBS、朝日新聞社 企画・制作:TBS
浪人街公式サイト:http://www.ints.co.jp/roningai.htm